「私人逮捕系YouTuber」に絡まれたらどう対応すべき? 強く反論はNG...弁護士が解説

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

「喧嘩腰の態度で応じることは避けたほうがいいと思います」

   刑事訴訟法213条は「現行犯人」であれば、捜査機関以外の一般人が犯人を逮捕することを認めているという。現行犯人については、刑事訴訟法212条1項が「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」と定めている。

   これには犯罪の嫌疑が必要であり、そのためには、犯罪行為の明白性だけでなく、犯罪行為をしている犯人の明白性の両方が必要になると解されている。

「電車の中で、目の前で痴漢行為があっただけでなく、痴漢をしているのが誰であるのかが逮捕をする人にとって明白である場合には、犯罪行為と犯罪行為をしている人が明白といえるため、犯罪行為の嫌疑があるといえます」

   しかし、刑事訴訟規則143条の3には「明らかに逮捕の必要がない場合」には逮捕できないと記されている。

   正木弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に逮捕の必要性が生じるが、一般人が判断することは非常に困難だという。

   犯罪行為および犯人の明白性についても、見間違いや思い違いなどの危険があり、一般人がとっさに正確な判断ができるのかが問題だとする。

   そのため、私人逮捕には誤認逮捕の危険がつきまとうと説明する。

   私人逮捕されたとしても、直ちに最寄りの交番などに立ち寄り、捜査の専門家へ接触したり、弁護士に連絡することが肝要になると述べる。

「逮捕は身体拘束という重要な人権侵害が伴いますので、適法な手続きに則ってされる必要があることは当然だからです。また、映像がインターネットにアップされることにより、身体拘束だけでなく、肖像権侵害やプライバシー侵害という、他の重要な権利侵害がなされる危険が非常に高いからです」

   反対に、私人逮捕系YouTuberに痴漢を疑われている場合にしてはいけない行為はあるか。正木弁護士は次のように述べる。

「私人逮捕系YouTuberは、犯罪行為をした者を逮捕するという正義感だけでなく、動画をアップすることで大衆から注目されたいという自己承認欲求を満たすために行う側面もあるかと思いますので、動画を撮るための熱量は高いといえます。意気込んで気負った状態で逮捕に臨んでおり、興奮状態にあると思います。そのような状態のYouTuberに対して、自分はやっていないと強く主張した場合、喧嘩に発展する可能性もあります。口喧嘩にとどまらず、殴り合いなどに発展してしまうと、暴行罪や傷害罪、強要罪、恐喝罪などに問われてしまう可能性もありますので、喧嘩腰の態度で応じることは避けたほうがいいと思います」
姉妹サイト