「メーカーのエンジニアがデジタルスキルをつけると強い」
一方、営業職(33.9%)、事務系専門職(33.2%)、機械・電気・化学エンジニア(31.8%)は、いずれも全体の割合(35.3%)を下回った。
営業職は2023年4月~6月の35.2%から減少、事務系専門職は2023年1月~3月に並ぶ過去最高タイで横ばい傾向。機械・電気・化学エンジニアは2020年度の22.3%から一貫して右肩上がりを続けている。
メーカーのエンジニアの転職事情について、人材採用支援会社で働くAさんは、雇用流動性は今後更に高まる可能性があるという。これまでメーカーは年功序列志向が高く、中途採用にも消極的だったが、この状況は変わらざるを得ないというのだ。
「現在はどのメーカーでも、いままでのやり方では会社が立ち行かなくなっていて、"事業ポートフォリオの変革"が戦略課題になっています。これを推進するため、デジタル技術を活用した変革(DX)によって、"生産性の向上"や"新規事業の開発"をリードできる人を求めています」
DX人材には「現場の業務を理解する力」と「デジタルリテラシー」の両方が必要だ。そのため、各社は社内でデジタル研修を行っているが、基礎知識の底上げはできても横並びの組織文化は変えられず、プロジェクトをリードする人を育成することは難しいという。
「そこで外部から、異業種を含む人材の中途採用を試みているのですが、コンサルティング会社の出身者は給与の要求水準も組織カルチャーも合わないので、定着率が悪い。その点、現場の事情を理解して粘り強く対処してくれる、デジタルの分かるエンジニア出身者は、歓迎される傾向にあります」
いまメーカーのエンジニアが転職するなら、メーカー経験だけを売り物にするのではなく、まずは「ITパスポート試験」からでもいいので、デジタル関係の資格を自分で取るなどして、新しいスキルを身に着けてアピールするとよいという。
「将来性のあるメーカーで、DXに取り組まない会社はありません。DXを推進するプロジェクトにうまく転職できれば、将来的にも給料があがっていくポジションを掴める可能性が高まると思いますよ」