まずは出力減少、1局ずつ休止... AMラジオ「FM転換」実証実験の内容が見えてきた

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   民放ラジオ局の多くがAMをやめてFMに移行する準備を進めるなか、AMを一部地域で一時的に停止して影響を見極める「実証実験」の具体的内容が見えてきた。

   現時点で実証実験への参加を表明しているのは13社。そのうち11社が24年2月から順次休止する。その中でも、2月に入った時点で電波を止める局もあれば、2~3月は出力を弱めて運用を続けた上で4月に電波を止める局もあり、スタンスは様々だ。局ごとに休止期間は異なるが、期間が延長されたり、そのまま送信所が廃止されたりする可能性に言及する局もある。

  • AMの電波を止める「実証実験」の内容が明らかになってきた(写真はイメージ)
    AMの電波を止める「実証実験」の内容が明らかになってきた(写真はイメージ)
  • 総務省が公表した13局の実証実験スケジュール。「止め方」は各局それぞれだ
    総務省が公表した13局の実証実験スケジュール。「止め方」は各局それぞれだ
  • AMの電波を止める「実証実験」の内容が明らかになってきた(写真はイメージ)
  • 総務省が公表した13局の実証実験スケジュール。「止め方」は各局それぞれだ

「運用休止開始日の遅くとも3か月前から」周知・広報が必要

   民放AMラジオ全47社でつくる「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」は21年6月、47社のうち44社が「2028年秋までにFM局となること」を目指すと発表している。実証実験は、「FM局となる」プロセスの一環だ。

   総務省が23年3月に公表した「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」によると、運用休止が可能なのは「2024年2月1日以降」。さらに、「特例適用局の運用休止開始日の遅くとも3か月前から」周知・広報を行うように求めている。つまり、24年2月から休止する局は、23年11月に広報を始める必要がある。これに合わせて、総務省や各局がウェブサイトの整備を進めており、実証実験の具体的な内容が明らかになってきた。

   電波法では、「正当な理由がないのに、無線局の運用を引き続き六月以上休止したとき」に総務相が免許を取り消せる規定があるが、実証実験で電波を止める際はこの対象からは外す。放送局の免許は5年ごとに更新される仕組みで、23年11月1日付で更新されたばかり。このタイミングでAMを止めても免許取り消しの対象にならない「特例措置」を行うことで、実証実験ができるようにしている。

   13社は、IBC岩手放送(盛岡市)、茨城放送(水戸市)、新潟放送(BSN、新潟市)、北陸放送(MRO、金沢市)、福井放送(FBC、福井市)、東海ラジオ放送(名古屋市)、山口放送(KRY、周南市)、南海放送(RNB、松山市)、RKB毎日放送(福岡市)、九州朝日放送(KBC、同)、長崎放送(NBC、長崎市)、熊本放送(RKK、熊本市)、南日本放送(MBC、鹿児島市)。大半が中継局のみを休止する計画だが、KRYとNBCのカバーエリアのうち佐賀県については、親局も休止する計画だ。

「調査結果によっては、そのまま送信所を廃止する場合があります」

   13局のうち10局が24年2月から休止する。その多くが2月1日か5日から休止する。多くの局は日曜深夜(月曜未明)、整備のために放送を休止する。整備のタイミングも考慮して、一部の局は月曜日の2月5日から休止することにしたとみられる。

   特殊なのがRNBとKRYだ。RNBは2月1日から段階的に中継局3局について徐々に段階的に出力を下げ、4月1日に電波を止める。KRYは中継局5局のうち、3局を2~3月に休止。残る岩国、下関局については、出力を弱くする期間を1か月ほど設けた上で、それぞれ4月29日、5月27日に休止する。親局も同様に7月29日に休止予定だ。

   MROは4月1日、東海ラジオは7月から8月にかけて休止する。

   実証実験終了のタイミングは局によって違う。最も早いのが茨城放送で、24年7月31日を予定。6局が、総務省が決めた「特例措置」適用期間の期限にあたる25年1月31日まで休止する。

   実証実験の状況によっては、そのまま閉局する可能性に言及する局もある。例えば茨城放送は

「閉局 2024年8月1日以降」

と明記。他の局も

「適用期間終了後、聴取状況により当該局廃止も検討しています」(IBC)
「運用休止中による聴取者数の調査結果によっては、そのまま送信所を廃止する場合があります」(BSN)
「休止期間は状況により延長される場合があります。休止期間終了後、送信所廃止の可能性があります」(RKK)

などと表現している。NBCはQ&Aで

「NBCラジオ(佐賀)のAM放送はいつまで休止されますか?」

という質問に

「2025年1月までを予定していますが、その後も延長される可能性があります」

と答えている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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