秋の行楽シーズンだ。11月は3~5日の3連休、23~26日の飛び石連休がある。しかし、問題は宿泊場所の確保。大手のビジネスホテルは、土日祝日が満室で宿がとれない状況だ。
影響は、宿泊費が安価な「簡易宿泊所」にも及んでいる。東京都台東区や大阪市西成区のゲストハウス、カプセルホテル、ホステルを調べると、予約がいっぱいで部屋が取れないケースが続々と出てきた。各所の現状を取材した。
簡易宿泊所5000~6000円台も
大手ビジネスホテルの予約アプリを使って東京都や大阪府のホテルを調べると、11月の土日祝日は満室の表示が出て、どこもいっぱいのようだ。
そこで、ビジネスホテルよりも料金が安く、1部屋3畳程度の簡易宿泊所の混雑状況と価格を調べてみた。設定した日程は、2023年11月25日から1泊。最近ではインバウンドの影響で、価格高騰のうえ予約も取れないと言われているが――。
●簡易宿泊所価格
ホテル丸忠(東京都台東区)1泊1室シングル6000円
サクラホステル浅草(東京都台東区)1泊ドミトリー5200円
旅館福田屋別館(東京都台東区)1泊1室シングル2200円
ホテル新今宮(大阪市西成区)1泊カプセル5700円
ビジネスホテルみかど(大阪市西成区)1泊1室シングル3800円
ホテル東洋(大阪市西成区)1泊1室シングル3500円
※楽天トラベルと電話を使った調査。宿泊人数は大人1人
ホステルやゲストハウス、カプセルホテルの1泊あたり宿泊料金は、コロナ前は2000円程度だった。それが2倍、3倍に高騰している。
合わせて混雑状況も調べると、予約の取れる宿もあったが、土日祝日は既に満室というゲストハウスやカプセルホテルも多かった。
大阪府の簡易宿泊所組合を、J-CASTニュースBiz編集部が取材したところ、
「個々のホテルの状況は答えられないが、アフターコロナになってから西成区を歩く外国人のお客さんが増えたと感じる。長期で宿泊している人も見かける。また、ビジネスホテルの価格が上がっているので、土日や祝日に満室の簡易宿泊所も増えている」
と答えた。
外国人に加え国内の観光客が出かける季節
日本政府観光局の作成した「月別訪日外客数および出国日本人数」(図1)によると、コロナ以前の2019年の訪日外客数はほとんどの月で240万人を超えている。特に4月と6月、7月が300万人近い。唯一数字が下がっているのは2019年9月の227万人だ。しかし、2023年のデータでは218万人と、7月に次いで訪日客の多い月となっている。
むろん観光客は、外国人だけではない。秋は行楽地に出かけよう、紅葉を見に行こうと国内の旅行需要が喚起される季節だ。
東京・大阪に外国人客が多い理由を、日本政府観光局広報担当者に聞いた。
「訪日客で大都会を観光したいという人は多い。一方、コロナ以降の訪日外国人客の動きを見ると、航空路線の回復で成田空港、羽田空港、関西国際空港での出入国の増加が顕著になっている。団体客では、日本観光のゴールデンルートである東京から来日して大阪に抜けていく経路をたどる人も多い」
さらに、「全員ではないが、東京や大阪に拠点となる宿を取っておいて、各地に公共交通で観光に出かける訪日客もいるため、東京や大阪のホテルが取りづらくなっているのではないか」とも答えた。