その年の世相を表わす言葉を表彰する「ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート語が2023年11月2日に発表された。
候補は30語。この中から10個が「トップテン」として表彰され、さらにここから年間大賞が選ばれる。J-CASTニュースBiz編集部は、今年も含めて過去数年の経済関連の言葉に注目した。
今年の経済用語は2語
23年の30語の中で、経済分野に分類できるものとしては「オーバーツーリズム」「2024年問題/ライドシェア」が挙げられるだろう。
「オーバーツーリズム」とは各観光地の収容人数を超えた観光客が押し寄せ、例えば住民がタクシーに乗れなくなるといった不都合が起こることを表わす。新型コロナウイルスの感染症が5月、「5類」に移行し、規制緩和が進んでインバウンドが復活したことを象徴する言葉と言えるだろう。本来なら観光客の増加で、その土地の経済は活性化が期待できるが、度が過ぎれば地域住民の暮らしに悪影響が及ぶ懸念がある。
「2024年問題/ライドシェア」の2024年問題とは、同年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間を年間960時間以下にすることが義務付けられ、これによって物流にさまざまな影響が起きると懸念されているものだ。「ライドシェア」は、近年進む路線バスの廃止やタクシードライバー不足の解決策として注目されている「自動車の相乗り」。モノとヒト両方を運べなくなりそうな現状を象徴する2語が、まとめてノミネートされた形だ。
コロナ禍では「テレワーク」、コロナ前は「○○ペイ」
1年前の2022年のノミネート語で経済分野に分類できるものは、今年10月1日に始まった「インボイス制度」、商品を手前に並べられているものから手に取る「てまえどり」、同年からすでに問題化していた「悪い円安」が挙げられる。
さかのぼって21年は、持続可能な経済活動を表わす「SDGs」が候補に。コロナ流行1年目となる20年は、当時一気に普及した「テレワーク/ワーケーション」、オンライン会議やオンライン飲み会などをまとめた「オンライン○○」、同年に実施された「GoToキャンペーン」がノミネートされていた。
最後に、コロナ前となる2019年のビジネス関連のノミネート語を振り返ってみよう。同年10月1日に消費税が10%になったことに合わせて同日に始まった「軽減税率」、いまや用語として定着した感のある「サブスク(サブスクリプション)」、安全保障上の輸出管理において優遇される国を表わす「ホワイト国」、電子マネーの普及を象徴する「キャッシュレス/ポイント還元」、そのキャッシュレスの決済手段の名称の総称として「○○ペイ」と、多かった。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)