コンビニエンスストアが近年、減少傾向にある。日本フランチャイズチェーン協会の統計では2020年~21年で26店舗、21年~22年で78店舗、22年(9月末)~23年(同)で82店舗、それぞれ減と右肩下がりだ。
同協会に取材すると、「店舗が増えているチェーンもあり、一概に市場が飽和状態だとは言えない」との回答。J-CASTニュースBiz編集部では取材を通して、減少の要因を探った。
セブンは増だが
記事冒頭に示した通り、日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、2022年9月から翌年9月まででコンビニ82店舗が減少していた(図1)。この数字は同協会に加盟するセイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、山崎製パンデイリーヤマザキ事業統括本部、ローソンの7社を合計したものだ。
大手3社の店舗数はどうなっているのだろうか。IR情報やニュースリリースで調べた。初めにセブン-イレブンは、次の通り。
2019年:全国2万955店舗
2020年:全国2万1167店舗
2021年:全国2万1327店舗
2022年:全国2万1402店舗
2023年:全国2万1431店舗(同年9月末)
※同社ウェブサイトから作成
2019年から23年9月末までに、264店舗増やしている。閉店と新規出店の割合は同社にて公開していないので分からないが、全国47都道府県に店舗を拡大している。
次に、ローソン。
2019年:総店舗数1万4671店舗 出店42 閉店34(純増8店)
2020年:総店舗数1万4476店舗 出店373 閉店341(純増32店)
2021年:総店舗数1万4656店舗 出店483 閉店303(純増180店)
2022年:総店舗数1万4631店舗 出店228 閉店253(純減25店)
2023年:総店舗数1万4612店舗 出店130 閉店142(純減12店)
※同社IR資料から抜粋
※「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」の国内の出店数
21年まで600店近い閉店がありながら、新規出店も多く店舗は純増だった。しかし、22年に純減に転じ、これまで40店舗ほど減らしている。
ローソン広報部に取材すると、「人口動態など変化していく外部条件に合わせた出店戦略を展開し、2023年中の10店舗の純増を目指している」と説明した。
人手不足指摘の声
最後は、ファミリーマート。
2020年:1万5686店舗 出店448店 閉店275店 173店舗増
2021年:1万5725店舗 出店195店 閉店156店 39店舗増
2022年:1万5646店舗 出店170店 閉店249店 79店舗減
2023年9月:1万5592店舗 出店128店 閉店142店 14店舗減
※ウェブサイトの営業概況より作成
2010年にエーエム・ピーエムを吸収合併し、15年にココストアを、16年にサークルKサンクスを継承したファミリーマート。2020年には275店を閉店しながらも新規出店を加速して純増していたが、22年には79店舗減。23年9月にも、14店舗減となっている。
ファミリーマート広報部を取材すると、「店舗数に関して、当社としては、今期よりリクルーティング・開発本部を新設し、質の高い店舗作りに注力しております。新店の日商(1日の売上高)においては高い水準を維持しているほか、無人決済店舗のシステムを活用し、これまで出店できなかった事業所内などに、サテライト出店をすすめております」と説明した。
一方、経済産業省が2020年2月に取りまとめた「新たなコンビニのあり方検討会」のコンビニオーナーヒアリングによると、人手不足に関する指摘がある。以下、寄せられた声を紹介しよう。
・(フランチャイズ本部の)人材確保のサポート力が今ない。慢性化する人手不足を解決する策はいまだ未解決である。(1店舗経営、加盟年数:5年以上10年未満、立地:住宅地)
・省人化が実現できれば表面的な問題はほとんど解決できる。(本部が)やらないのは怠慢である。人手不足は待ったなしで深刻化している。あとは利益相反関係を解消することである。(1店舗経営、加盟年数:5年以上10年未満、立地:郊外幹線道路沿い)