京成電鉄(千葉県市川市)は2023年10月31日、新京成電鉄(千葉県鎌ケ谷市)を25年4月に吸収合併すると発表した。
新京成電鉄は、京成津田沼駅と松戸駅を結ぶ路線だ。京成電鉄が1946年の創立にも関わり、現在は子会社としている。共に千葉県を拠点とする鉄道会社で、そもそも縁が深い。わざわざ吸収合併する思惑は、何だろうか。
「さらなる経営の効率化・意思決定の迅速化を図る」
吸収合併の決定を伝える京成電鉄の10月31日付リリースを見ると、冒頭の「1.本合併の目的」の項目で、22 年9月1日に新京成電鉄の全株式を取得し完全子会社化したことに触れつつ、
「このたび、さらなる経営の効率化・意思決定の迅速化を図ることで、経営資源を最大限活用し、これらのシナジー効果をより早期かつ確実に発揮するため、当社を存続会社、新京成電鉄を消滅会社とする吸収合併を行うことといたしました」
と説明している。また、今回の吸収合併を巡っては千葉日報が10月31日付記事で、
「現在の路線と駅、従業員の雇用は維持する方針。『新京成線』の路線名を存続するかは今後検討する。新京成の運賃については京成線に組み込まず、現在の運賃体系を維持する方向で調整している」
と報じた。
この内容について、鉄道に詳しいライターの小林拓矢氏はJ-CASTニュースBizの取材に、
「あくまで事業基盤を強化するための吸収合併のため、合併による人員削減というのがないと考えられます。これまで通りの鉄道運行をするには、現在と同様の人員が必要だと考えます」
と推測した。
「料金別建て」京成の区間に存在
吸収合併にもかかわらず料金が京成電鉄には組み込まれないとの報道内容について、小林氏は次のように説明した。
「京成電鉄内でも、料金が別建てという区間はあります。京成千原線です。第三セクター・千葉急行電鉄を吸収合併した経緯から、千葉中央駅で区切られ、別運賃となっています。新京成電鉄の区間も同様にすることで、対応が可能になります」
つまり、必ずしもイレギュラーな対応とは限らないとの指摘だ。併せて、
「新京成電鉄の運賃は、距離によっては京成電鉄よりも安い場合があります。なお、京成千原線とその他の京成線を『通し』で乗る場合、割引があります。このような対応が、新京成が京成に吸収された後に行われることも考えられるのではないでしょうか」
と、今後の展開を予想する。
吸収合併後の路線名は、現在棚上げになっているようだ。
「新京成電鉄は、『新京成線』の1路線しかなく、これまで名前らしい名前がありませんでした。なので、今後考えていくのではないでしょうか」
小林氏は、こう述べた。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)