米国のラーム・エマニュエル駐日大使がX(旧ツイッター)で対中批判を加速させている。2023年9月にはバイデン大統領の側近らが「米中関係修復に向けた動きを損ないかねない」として、中国側を挑発する書き込みをやめるように求めた、と米メディアに報じられたばかりだ(エマニュエル氏側は否定)。
だが、エマニュエル氏の書き込みでは、原発処理水の放出を受け、中国が日本産水産物の禁輸を続けていることを批判。この禁輸措置で中国の水産事業者もダメージを受けているとして「中国の経済管理、見ものである」などと皮肉った。禁輸で行き先を失った水産物を米軍が買い取る「トモダチ作戦2.0」を行う考えも示した。
禁輸の影響は中国直撃「中国の経済管理、見ものである」
エマニュエル氏の書き込みは10月31日付で、毎日新聞の「中国ホタテ加工業者、拠点移転か 禁輸措置受け、東南アジアへ」の見出しの記事を引用しながら、「ハロウィーンがやってきてクモがお出ましだ」。ウォルター・スコットの作品「マーミオン」の一節を引いて「人を欺くは、もつれたクモの巣を編むがごとし」(Oh, what a tangled web we weave, when first we practice to deceive.)と説いた。皮肉を交えながら中国の自縄自縛ぶりを表現する狙いがあるようだ。
「中国企業は閉鎖と東南アジアへの移転を検討している。この禁輸措置は日本を狙ったものだが、直撃したのは自国の労働者だ。中国の経済管理、見ものである」
行き場失ったホタテを買い取る「トモダチ作戦2.0」も
エマニュエル氏は10月30日のロイター通信とのインタビューで、米軍が日本の水産業者と長期契約し、ホタテなどを買い取ることを明らかにした。東日本大震災で米軍が日本を支援するために行った「トモダチ作戦」の第2弾に位置づけたい考えだ。Xの書き込みでは、中国漁船が日本と同様の水域で操業しているにもかかわらず禁輸を続けていることを「偽善」だとした上で、米軍の対応を「トモダチ作戦2.0」と表現。横田基地で行われた式典の写真を添えて、次のように書き込んだ。
「中国が日本に対して経済的威圧を行使するなら、米国はトモダチ作戦2.0で真っ向から対抗する。中国は欺瞞的に日本の水産物輸入を禁止する一方で、日本海域で全く同じ魚介類を獲っているのだ。抜群に美味しいのだから彼らを責めることはできないが、その偽善は非難されてしかるべきだ。米国はこの水産物をもっとふさわしい市場、つまり米軍兵士とその家族に送る。これはトモダチ作戦2.0だ」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
中国が日本に対して経済的威圧を行使するなら、米国はトモダチ作戦2.0で真っ向から対抗する。中国は欺瞞的に日本の水産物輸入を禁止する一方で、日本海域で全く同じ魚介類を獲っているのだ。抜群に美味しいのだから彼らを責めることはできないが、その偽善は非難されてしかるべきだ。米国はこの水産物… https://t.co/04PeEKd8TB
— ラーム・エマニュエル駐日米国大使 (@USAmbJapan) October 31, 2023