中国メディア「騰訊体育」(WEB版)が2023年10月29日、中国・珠海で開催された女子テニスのWTAエリート・トロフィーの特集記事を組み、女子ダブルスに出場した加藤未唯(ザイマックス)の試合中の行為を批判した。
第2シードの加藤、アルディラ・スーチャディ(インドネシア)ペアは28日に行われた女子ダブルスで第5シードのワン・シユ、シュー・イーファンの中国ペアに2-1で勝利し、決勝戦に進出した。29日の決勝戦では、第1シードのベアトリス・アダッド マイア(ブラジル)、ベロニカ・クデルメトワ(ロシア)ペアに敗れ準優勝に終わった。
「加藤の行為は非常に失礼だと言わざるを得ない」
「騰訊体育」が問題視したのは中国ペアとの試合中の加藤のジェスチャーだ。同メディアによると、中国選手のプレーに大歓声を上げる観客席に向かい右人差し指を口に当て静かにするよう求めたという。
記事では、「加藤の行為は非常に失礼だと言わざるを得ない」とし、「中国の観客が中国選手を応援するのはごく普通のことで中国のホームグラウンドで日本人選手である加藤を応援するだろうか」と疑問を投げかけた。
この日の観客の質は高く、中国人選手を応援しても試合の進行に影響しなかったとした。一方で、加藤の「挑発」に対して観客は引き下がらずにブーイングを浴びせたという。
さらに、加藤が大会で物議を醸す状況に陥ったのは今回が初めてではないとし、6月に開催された全仏オープンで起こった騒動に言及した。
「加藤に対するブズコバの評価は正確だ」
全仏オープン女子ダブルス3回戦で加藤はスーチャディとペアを組み、マリエ・ブズコバ(チェコ)、サラ・ソリベストルモ(スペイン)ペアと対戦。第2セット第5ゲームのポイント間にネット際にいた加藤が、自陣コートにあったボールをコート外に出すためバックハンドで返球したところ、これがボールガールの頭部に当たり、ボールガールは泣き出してしまった。これにより加藤ペアは失格となって敗退した。
複数の欧州メディアによると、加藤は主審に警告を宣告されたが、直後にブズコバとソリベストルモが主審に異議を申し立て判定が覆って失格になったという。加藤ペアの失格をめぐり、欧州の元選手や解説者から同情的な声が上がり、SNSでは主審に異議を申し立てたブズコバとソリベストルモに対する批判的な意見が上がった。
騒動はこれで収まらず、大会終了から1カ月後の7月にブズコバが地元チェコメディアの取材に対して加藤を猛批判したことで再び火が付いた。ブズコバは「加藤はすべてを引き起こし、私たちを敵に回した。彼女は私たちを悪者にした」などとコメントし、「彼女は試合中ずっと怒っていてラケットを投げることもあった」と過去の行為に言及した。
ブズコバの発言はインターネットで拡散され、SNSで批判の声が上がった。
前出の「騰訊体育」は全仏オープンでの騒動を振り返り、「加藤に対するブズコバの評価は正確だ」とし、「加藤は自分を被害者に見立てて同情を買った」などと批判した。