遺産で家族ともめたくない、でも親の生前に決めるのも難しい 相続の準備「今できること」弁護士に聞く

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   遺産相続に関する準備として、「事前に家族・親族と『もしも』のことを想定した話し合いが必要」だと感じている人は39.2%――。マネーフォワード(本社・東京)が2023年10月19日に発表した、「相続」のイメージに関するアンケートの結果だ。

   一方で、家族とはいえ子が親に、遺産という「親の死後」の話をもちかけるのは気が引けるだろう。高齢の親が病気で、話し合いができないケースも考えられる。J-CASTニュースBizは、遺産分割協議についての著書がある弁護士・永石一郎氏に、遺産相続をスムーズに進める対策を聞いた。

  • 相続の話をスムーズに進めるには?(写真はイメージ)
    相続の話をスムーズに進めるには?(写真はイメージ)
  • 相続にはネガティブなイメージがある(画像提供元:マネーフォワード)
    相続にはネガティブなイメージがある(画像提供元:マネーフォワード)
  • スムーズな相続のために必要な事前準備(画像提供元:マネーフォワード)
    スムーズな相続のために必要な事前準備(画像提供元:マネーフォワード)
  • 相続の話をスムーズに進めるには?(写真はイメージ)
  • 相続にはネガティブなイメージがある(画像提供元:マネーフォワード)
  • スムーズな相続のために必要な事前準備(画像提供元:マネーフォワード)

回答者の2割「親族間のトラブルにつながりそう」

   マネーフォワードのアンケートでは、「相続」に対してネガティブな印象をもっている人が32.4%だった。具体的には「手続きが複雑そう、面倒そう」と感じる人は49.3%で、対象の過半数に迫った。次いで、「親族間のトラブルにつながりそう」が19.9%、「相続税など、税金がかかってしまう」が15.1%となった。この調査は2023年7月25日~8月7日、インタネットで行われ、451人が回答した。

   調査結果のなかに、「実際に相続が発生する際、遺族は被相続人が亡くなった事を知った日の翌日から10か月以内には相続税の申告を行う必要があります。同時に相続人同士の遺産分割協議が行われる場合もあり、並行して進めていく手続きが数多くあります」との説明があった。

   遺産の分割協議は、必ず相続人全員で行わければならない。未成年者がいる場合には、その代理人の参加も必要だ。相続人が1人でも欠けた状態で行うと、その結果は無効となる。

   さらに調査資料では国税庁ウェブサイトから、こんな事実を示した。

「2022年に国内で発生した遺産分割事件のうち、1000万円以下の遺産額を巡り争うのは全体の33%を占めており、実際に親族間でのトラブルに繋がっている事実もあります」

   「改訂版 ケース別 遺産分割協議書作成マニュアル」(新日本法規出版)を編集した弁護士・永石一郎氏を取材すると、「被相続人の生前に遺産分割協議をするのは大変に難しいこと」と話す。「まず、被相続人が死んだあとの話題をすることを嫌がる傾向があります。また、被相続人が生きている間に自分の思いを口にすると、そのあとの家族関係が悪化する可能性があり、介護や看護のトラブルにつながる恐れがあります」というわけだ。

「アパート一棟だけなど、相続する資産が少ない人は生前の協議に前向きに取り組んでくれるかもしれません。しかし、資産の多い人の場合はそううまくいかず、遺産分割協議がもめることは多いです」

「家族信託制度」を利用

   遺産相続でもめないための方法の一つとして、永石氏は、「保有する不動産・預貯金などの資産を信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる『家族信託制度』を利用するのがよい」と具体例を挙げてくれた。

「自分の老後の生活・介護などに必要な資金の管理・給付など特定の目的で、『家族信託制度』を利用する人はいます」

   また、被相続人が認知症になってしまってからでは、相続の話をするのは間に合わない。永石氏は、被相続人が「元気なうちに公証役場に行って、『任意後見契約』を結んでおくことが大切です」とアドバイスする。これにより、「被相続人に変わって財産管理等の仕事をする任意後見人をあらかじめ決め、その人との間で財産管理の代理権を与えて法律行為をしてもらうことができるでしょう」とのことだ。

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