「ひどく怒られる」「毎日が苦痛」医薬品卸で働く若手が悲鳴 「薬不足」出口見えず対応に追われる

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過去5年間の新卒採用「減少」76%、離職者数「増加」64%

   同じ調査で日本医薬品卸売業連合会の会員企業45社の人事部から得た回答によると、過去5年間に新卒採用における応募者人数が「増加傾向にある」と答えた会社はゼロ。「減少傾向にある」が34社(76%)にのぼった。

   一方、過去5年間の若年層人材の離職者数が「減少傾向にある」と答えた会社は、わずか1社(3%)。「増加傾向にある」と答えた会社は29社(64%)を占めた。

   「出荷調整」による業務負担増が若年層人材の離職に「あまり影響していない」と答えた会社は4社(9%)にとどまり、「大いに影響している」が27社(60%)にのぼっている。

   医薬品卸を取り巻く問題は「出荷調整」だけではない。物価の高騰に加え、いわゆる「2024年問題」でトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制がかけられ、人材調達の問題が深刻だ。

   さらには国全体の医療費削減の要請もあり、「薬価改定」によって薬の単価は6年連続で引き下げられている。コスト増加を価格転嫁しにくい仕組みの中で、納入価格を上回る流通コストが生じ、多くが流通不採算品となっているという。

   2022年度の医薬品卸の営業利益率は平均0.8%と低い。大手上場企業でも、メディパルホールディングスが1.5%、アルフレッサ ホールディングスが1.1%、スズケンが1.4%(いずれも2023年3月期)と低水準で、昇給の余地はない。

   前出のアンケートでも、20代男性営業職が「医薬品業界自体、将来性がないように感じることが多い」と答えている。

   日本医薬品卸売業連合会は薬価専門部会において、2024年度の薬価改定に向けて「薬価20円未満の医薬品および安定確保すべき医薬品の薬価引上げを検討していただきたい」と意見を述べている。

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