日本の新幹線などで無賃乗車を繰り返して炎上した海外の男性ユーチューバー「Fidias(フィディアス)」に対し、長崎県営バスの運転手が毅然とした対応をしたとして、賞賛の声が相次いでいる。
「バスが来たが、俺にお金はない」。ユーチューバーは、長崎市内の「出島」バス停の前に立って英語でこう明かし、近くにいた少年に運賃を無心する。
怒った様子で腕を組んで、出口の前で立ちふさがる
この少年から600円をもらうと、ユーチューバーは、来たバスに乗った。
バスが諫早駅に着いて、運転手が料金は680円と英語で告げると、ユーチューバーは、600円を出すが、運転手は、さらに80円を求める。
これに対し、ユーチューバーが「ノー」と拒否すると、運転手は、怒った様子で「警察を呼びますよ」と迫った。腕を組んで、出口の前で仁王立ちした。逃げないように立ちふさがり、その後も、ユーチューバーをにらみ続けた。
ユーチューバーは、その後、警察に連れて行かれ、約5時間も事情を聞かれたと明かしていた。
ユーチューバーが撮ったこの動画シーンは、2023年10月27日になって、X(旧ツイッター)で取り上げられ、バスに閉じ込めて警察に引き渡した運転手への賞賛の声が相次いだ。
ヤフーのリアルタイム検索で、「バスの運転手」のキーワードが一時トレンドの20位以内に入るほど、大きな話題になった。
長崎県営バスを運営する県交通局の乗合課は27日、J-CASTニュースの取材に対し、ユーチューバーは、9月22日の16時10分ごろ、長崎駅発諫早駅行きにバス停から乗り込んだと説明した。
同課によると、ユーチューバーは、乗り込んでから、「80円足りないので、もらえませんか?」などと他の乗客にねだっていた。高速も走行するこのバスは、680円の一律料金になっており、諫早駅で降りるときに600円しか所持していなかった。
長崎県交通局「運転手の対応は、適正なものだった」
お金を持っていないので、このまま許してほしいといった態度だったというが、運転手は、許そうとはしなかった。
出口近くにいた別の運転手に、バスターミナルの職員を呼んでほしいと依頼し、職員が来てユーチューバーを窓口まで連れて行った。その間、ユーチューバーと出口のドアの前でにらみ合いが1~2分間続いたという。
その後、今回の運転手が近くの交番に向かい、「運賃を支払ってもらえない」と相談した。交番の警察官が窓口に来て、その後は、警察に連れられて行った。
この運転手の対応について、長崎県交通局の乗合課では、次のように述べた。
「ユーチューバーの方は、車内でお金をせびっていて、運賃を支払わずに降ろさせてほしいといった態度でした。明らかに、他の乗客とは違いますので、警察に引き渡す対応をしました。適正なものだったと考えています」
運転手については、「毅然と対応した!」などと賞賛する内容のメールが数件届いているという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)