固定金利か変動金利か、本人の性格次第
――将来の金利がわからないとなると、住宅ローンを組む場合、固定金利がいいのか、変動金利がいいのか、どちらの選択がおススメですか。
小林さん どちらが絶対によい、ということはありません。本人の人生観というか、性格、あるいは所得状況次第だという面が強いと考えます。現在、固定金利は「フラット35」を例にとると約1.8%前後、変動金利だと0.3%~0.4%前後ですが、将来金利がどこまで上がって逆転するのか、しないのか。約30数年先の金利など、誰にも予測はできません。
金利の動きに不安を持っている心配性の人は、固定金利型にすれば安心することができます。固定金利が変動金利より高い分は、心配しながら住まなくてすむ「保険料」だと考えればいいでしょう。
一方、少々のリスクなど気にしない楽観的な人、あるいは所得に余裕がある人は、現在、金利が低い変動金利型にすればいいと思います。「将来金利が上がるということは、景気が良くなり、賃金も上がるわけだから、ローンの支払いは何とかなる」と考えるのも、ある程度理屈に合っています。
――しかし、あまりに楽観的な見方も大丈夫かなと心配になります。
小林さん そうですね。所得の増加をあてにして失敗した旧住宅金融公庫の「ゆとり償還」の事例もあります。リスクを気にする・しないではなく、リスクをしっかり管理する必要があります。金利が低いからといって、ギリギリの生活になるようなローンを組まずに、変動金利で借りるのなら、いざ、金利が高くなった時のために、金利が低い分の差額は貯蓄に回すような余裕のある返済計画を立ててほしいです。
住宅ローン未払いの最後は、家を取り立てられることになります。私は、旧住宅金融公庫に勤めていた時、直営の債権回収部門も担当しましたから、切ないケースをたくさん見てきました。
――固定金利と変動金利のどちらを選択するか、本人の性格以外の側面もありますか。
小林さん 年代もある程度影響します。たとえば、40代後半の人で、ローンの返済に退職金があてにできる場合は、変動金利でもあまり問題はありません。変動金利には多くの場合「125%ルール」があります。
ローンを組んで5年経過後の6年目からの返済額は、今までの返済額に対して125%の金額までしか上げないルールです。毎月の返済額が10万円なら、たとえ金利が上がっても毎月の返済額は12.5万円が上限になります。ちょうど退職の時期に差し掛かるなら、変動金利の選択も十分ありうるでしょう。
逆に、20代~30代の人は、実際の返済期間も長いので、固定金利で「安心」を買うという選択肢もありえます。