コインパーキングの料金表示がおかしいのに、4800円を請求されたのは納得がいかないと、テレビ出演も多い山岸久朗弁護士が、X(旧ツイッター)で「腹立った話し」として書いている。
駐車場の料金表示を巡っては、分かりにくい、多額の請求をされた、との声も多いだけに、ネット上で関心が集まっている。一体どんな問題があったのだろうか。
「見えない位置に値段を書いたり、肝心のことを小さい字で書いたり」
山岸弁護士は2023年10月25日、最大料金を表示した看板の写真を添えて、今回の体験を投稿した。
それによると、前日の24日午前9時ごろに、大阪市北区内のコインパーキングに車を止めた。10~16時で時間内最大1200円との看板が出ており、10時以降はその料金までしかかからないと考えていた。しかし、15時に戻って清算ボタンを押すと、4800円を請求された。
驚いて看板に書いてある「緊急連絡先」に電話すると、「金額間違えておりません。払ってください」と言われたという。理由については、通常料金が25分300円と書いてあると説明されたが、その表示は、精算機の足元の方に小さいステッカーで貼ってあったという。
山岸弁護士は、こんな表示では「停める時クルマから見えない」と納得がいかなかった。駐車場の経営会社名も記されておらず、電話口でも答えなかったため、「私は弁護士です。訴えようと思うので経営している会社名を答えてください」と伝えた。10分間待たされたが、「最大料金の適用は1回限り」だとして、16~10時までの最大料金900円が適用された後は、通常料金が加算されると説明するだけだった。その後、何度も押し問答をして、ようやく会社名を明かされた。
これに対し、山岸弁護士は、「自動車から見えない位置に値段を書いたり、肝心のことを小さい字で書いたり、責任の所在する会社名を秘したり、いち消費者として許すことできない」として、法的手段に出ることも考えていると述べた。
これらの投稿は、「料金表示が不明朗で計算がややこしい」「是非判例を作っていただきたい」などと共感も呼んで、大きな話題になっている。
駐車場の看板に通常料金の表示がないのは、「誤認させる表示」
山岸弁護士の投稿によると、その後、駐車場コールセンターから電話があり、「昨日はご迷惑おかけしました。料金表示を改善しますと言っています」と伝えてきた。駐車当日は、次の用事があったことなどから4800円全額を支払っていたため、「適正額との差額」を返金するよう求めたが、こちらは拒否されたという。
このコインパーキングについて、大阪市消費者センターの担当者は10月26日、J-CASTニュースの取材に対し、「消費者を誤認させる表示になっていると思います」と答えた。それは、最大料金を表示した看板には、通常料金25分300円の表示がないからだと説明した。
景品表示法上では、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」がある不当な表示を禁じている第5条の3項に抵触する可能性があるという。駐車場の経営会社に対し、消費者センターか消費者庁が申し入れしていく内容だとしている。
ただ、最大料金の適用は1回限りとされたことについては、看板に「最大料金は1回限りの適用になります。以降は、通常料金が加算されます」と書かれていたため、法的に問題になる恐れはないのではないかとした。
山岸弁護士は27日、取材に対し、最大料金表示から離れたところに小さな字で通常料金が書いてあったのは、景品表示法上で誤認させる表示になるとの消費者センターの見解について、「そのとおりです」と答えた。
以前の看板では、通常料金が表示されていたが...
ただ、山岸弁護士によると、最大料金が900円の時間帯に、9~10時の1時間弱しか車を止めていないという。通常料金25分300円で計算すると、1時間15分駐車しないと、最大料金には達しない。もしこの時間帯に900円弱の料金だったとすると、その後の通常料金の徴収は、「最大料金は1回限りの適用」に矛盾する可能性がある。
山岸弁護士は、「最大でも2つの最大料金の合算の2100円だと思いました。しかし1時間弱しか停めてないのに900円というのもおかしいと思います」と指摘している。
一方、最大料金を表示した看板では、グーグルのストリートビューを見ると、以前は、20分200円と通常料金が表示されていた。しかし、今回投稿された写真では、この通常料金部分が上から塗られて消されたような跡が見られた。山岸弁護士によると、代わりに精算機の下部にステッカーで表示されていた形だ。
それでは、なぜ通常料金部分がこのように「誤認させる表示」になっていたのか。
この点などについて、駐車場の経営会社に10月26日から取材を申し込んでいる。回答があり次第、追って伝える。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)