「似ていると指摘されるリスクはゼロとは言えない」
生成AIには、著作権侵害などの問題を指摘されるケースがある。テレビCM以外に屋外広告などの広告にもAIで携わっている同社は、独自のシステムを使った生成AIを開発した上でAIタレントを制作しており、実在の人物などに類似する可能性を減らす対策も講じている。
「弁護士に法的な見解書をいただいて、弊社のサービスは全く問題ないという証明をもらっています。その上で、誰かに似ている可能性もあるため、最終的な納品物に対し、類似性をチェックするシステムなどを使って、ダブルチェックで確認しています」
しかし類似性のチェックをしても、SNSなどで指摘される可能性は残る。同社は取引先に「似せていなくても似ていると指摘されるリスクはゼロとは言えない」と説明し、それでも指摘された場合、倫理的な観点から改めてAIタレントを作り直すという方法も提案しているという。
また、広告表示に関する「優良誤認」や「誇大広告」にも注意を払っている。担当者によれば、例えば「髪」に関する広告では、実際の人物の髪で表現する必要がある。同社では、AIタレントを使ってはいけないジャンルに関しては使わないようにしている。
テレビCMにおけるAIタレントの起用について、担当者は「テレビCMは多くの人の目に触れるという意味では、ある意味でリスクも存在する表現だと思っていて、そのリスクをきちんと踏まえた上でAIタレントをどう捉えるかだと思います」と述べた上で、以下のような考えを示した。
「制作会社や広告代理店、クライアント、AI会社を含め、制作の意図や生成する人物、手法に対する認識を統一し、きちんと制作していることを共有できていれば、仮に『似ている』と指摘された場合も倫理的な観点も踏まえて正しい対応ができるかと思います」