日本一の「社長輩出県」は、徳島県――。東京商工リサーチが2023年10月20日に発表した「2023年全国『社長の輩出率・地元率』調査」によると、都道府県の人口に対して社長を輩出した「輩出率」が高いトップ3は、徳島県、山形県、香川県となった。
この3県は、ここ数年は不動。詳しい理由を探るため、調査元の東京商工リサーチを取材した。
堅実・実利の県民性 大阪との関係も良好
社長の輩出率1位の徳島県は、6年連続のトップ。この調査では都道府県別の人口に対する社長の割合を「輩出率」としており、同県の場合は1.35%だった。レポートは、こう分析している。
「徳島県は堅実・実利を尊ぶ県民性といわれ、四国の一角でありながら古くから大阪との交流が深い。阿波商人に象徴される気質が育まれているともいえる。産業や観光・文化等の振興を目的とする『関西広域連合』に四国から唯一加わり、今もなお関西圏との関係は深い」
徳島県出身の「社長」を具体的に調べてみた。チームラボ創業者で代表の猪子寿之氏、ジャストシステムの二代目社長を務めた福良伴昭氏、ベンチャーキャピタル・日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏らがいる。
2位の山形県は輩出率1.15%、3位香川県は同1.09%だった。取材に応じた東京商工リサーチは、
「山形県に関しては、清貧の思想が強く、労働を尊ぶという真面目な県民性があるようなので、歴史ある企業の後継ぎが戻ってくるケースが多いのかもしれません」
と答えた。一方で、
「輩出率が低いのは、埼玉県、千葉県、神奈川県と首都圏の3県が占めており、下位は人口増加で輩出率の分母が大きくなり、抑えられている傾向があります」