プロボクシングのWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋、30)が2023年12月26日に東京・有明アリーナでWBA・IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン、31)と世界4団体王座統一戦を行うことが25日発表された。
バンタム級に続いて世界4団体王座統一を目指す井上。スポーツ紙の報道によると、会見の席で「KO宣言」が飛び出したという。海外メディアでは井上優位との見方が多く見受けられる中、タパレスの勝機はどこにあるのか。J-CASTニュースはTMKジムの金平桂一郎会長(57)に分析してもらった。
「タパレスは小さいので距離を取ったらダメ」
井上は7月にWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国、29)を8回TKOで破り2団体の王座を獲得し、今回は王座統一戦とともに保持する団体の初防衛戦となる。対するタパレスは4月にWBA・IBF同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、28)を破り王座を獲得したばかりで、井上戦は初防衛を兼ねている。
両者の戦績を比較すると、井上はプロ入り後負けなしの25勝(22KO)で世界4階級を制覇している。一方のタパレスは世界2階級を制覇しており37勝(19KO)3敗。19年12月に行われたIBF世界バンタム級暫定王座決定戦で岩佐亮佑(セレス)と対戦し、ダウンを喫した末、11回TKO負けをしている。
金平会長はタパレスのパンチ力を評価する一方で、攻撃力に関してはそれほど高くはないとした。同じフィリピン人で井上と2度対戦しているノニト・ドネア(40)や、井上戦を熱望しているジョンリル・カシメロ(34)の方が攻撃力は高いと指摘した上で、直近のアフマダリエフ戦を次のように振り返った。
「勝因はアフマダリエフが前半あまりも手数が少なくポイントを失ったことでしょう。アフマダリエフが後半反撃したけどもポイントが届きませんでした。勝つには勝ちましたが、この試合で高い評価を得ることが出来なかったと思います。世界2階級制覇の世界チャンピオンなので評価されてしかるべきだけれども、高い評価を受けるような試合をしていないのが現状なので、井上選手優位の声が聞こえてくるのだと思います」
スピード、パンチ力など総合的に上回る井上を攻略するには何が必要なのか。
金平会長は「タパレスに勝機があるとすれば打ち合いにもっていくこと。いかにして乱打戦にもっていくか。先のことを考えて戦ったら井上選手にやられてしまう」とし、「体格的にタパレスは小さいので距離を取ったらダメ。アフマダリエフ戦のように粘り強く最後まで諦めないことが大事だと思います」との見解を示した。