東京都品川区内の牛丼チェーン「すき家」の店舗が、「ひとりできません」と手書きした貼り紙で営業を休止したことを告げていたとして、その写真がX(旧ツイッター)に投稿された。
貼り紙の内容について、ワンオペレーション(ワンオペ)の状態を指すのではないかとの推測も出ている。すき家運営に取材して状況を聞いた。
未明の時間に営業休止状態で、「7時まで閉めます」
暗い店内が見えるガラス上で、表示された店名の横に、次のような文面の貼り紙が手書きで出されている。
「7時まで閉めます。ひとりできません」
貼り紙の右下には、「ごめんなさい」と書かれていたが、棒線で消されていた。
この貼り紙写真は、2023年10月24日未明にツイッターで投稿された。
店員がワンオペを巡る苦境を訴えているのではないかと投稿者は推測した。投稿者は、ウーバーイーツの配達員をしているとプロフィールで紹介している。
写真の投稿者は25日、J-CASTニュースの取材に応じ、この店で24日午前5時30分過ぎに撮影したと明かした。店は営業休止状態だったという。貼り紙を出した店の事情については、「たまに配達でこちらのすき家も呼ばれますが、店の状況までは把握しておりません」と答えた。
従業員が1人で店内のすべての業務をこなすワンオペについては、2014年に、深夜時間帯に過酷な労働や防犯上の危険を招いていると批判され、すき家では、解消に向けて深夜帯(0~5時)の複数勤務体制に取り組む姿勢を見せていた。2022年6月には、朝帯(5~9時)の複数勤務体制を同年5月に決定したことも発表していた。今回の貼り紙は、こうした経緯と何か関係しているのだろうか。
貼り紙について、すき家運営は26日、従業員自身の判断で出したと、広報担当者が取材に説明した。
深夜に一時ワンオペで営業、自らの判断で貼り紙出す
すき家の説明によると、現在でも、深夜0時から午前9時までの時間帯においては、ワンオペではなく複数勤務体制を徹底している。そのうえで、「やむを得ない急な体調不良などにより上記時間帯で複数勤務体制が確立できない場合は、ご利用いただくお客様にはご不便をおかけしますが、本部に連絡、所定の告知文を掲示した上で営業を休止するようルール化しています」とした。
今回の店では、10月24日は、深夜から早朝にかけ従業員2人での勤務が予定されていたが、そのうちの1人が急きょ出勤できなくなった。
「本来であれば、従業員1名のみの店舗営業が判明した0時の時点で、営業休止にかかる細かな作業指示を受けるべく本部に連絡をしなければなりませんでしたが、その認識が不足していたことで午前2時30分頃まで1名で営業しました」
その後、この従業員自身の判断から、今回の貼り紙を掲示して営業を休止した。そして、別の従業員が出勤した午前7時ごろに営業を再開したという。
こうしたことについて、広報担当者は、「当該従業員には正しい勤務体制に関する教育を行い、ルールの徹底を行ってまいります」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)