高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
所得減税4万円、非課税世帯7万円給付案は「規模が小さく、遅い」「効果を論じるまでもない」

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政府の増収をどのように使うかは、国会で議論すべき問題

   所得減税4万円、非課税世帯7万円給付案ということは、減税・給付金規模は5兆円程度だ。これでは、筆者の想定するGDPギャップの3分の1程度なので、GDPギャップの解消が出来ず、つまり賃金が物価上昇を上回り好循環になる、絶好の経済ポイントであるNAIRU(インフレを加速しない最低失業率)を実現できない。

   もちろん、成長や円安による政府の増収をどのように使うかは、国民に一律にバラまくのではなく少子化対策に特化すべきとか、減税より給付金のほうが手元に届くのが早いとか、人それぞれの意見があってもいい。それこそ、所得税なのか、消費税なのかを含めて国会でしっかり議論すべき問題だ。

   しかし、そうした議論以前に全体の規模が足りていない。しかも、所得減税のための税法改正は来年提出で3月に成立後、実施は早くても7月だ。規模が小さく、遅いので、効果を論じるまでもない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。


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