北海道東部の牧場で次々と牛を襲った末、駆除されたヒグマ「OSO18」。その後、ジビエ用の肉として道内や東京近郊に出荷されていたと、多くのメディアが報じている。
農林水産省による統計を見ると、農家などへの獣害で駆除された野生動物のジビエ利用頭数が伸びている。2020年にはシカ8万5840頭、イノシシ3万4769頭が食肉加工センターを通してジビエとして食卓や飲食店で消費された。一方で、肉を食べるうえで注意も必要だ。
処理や加熱甘いと感染症、食中毒のリスク
農林水産省の「ジビエ使用量の推移」によれば、2016年の調査時には1283トンだった野生動物のジビエへの加工は、右肩上がりで上昇し、2019年には2008トンに達し、大人気になっている。2021年は全体が1810トンで、うち食用1297トン、ペットフードへの利用が489トン、その他が24トンになっている。
野生動物の肉を食べることの安全性には、留意したい。厚生労働省のウェブサイト、処理方法のガイドラインを示している。
「厚生労働省では、シカ、イノシシ等の野生鳥獣が保有する病原体の実態調査を実施しており、E型肝炎ウイルス(HEV)のほか、病原性大腸菌、サルモネラ属菌、カンピロバクター属菌、旋毛虫(トリヒナ)、肺吸虫等の病原体を保有していることが明らかになっています。
生または加熱不十分な野生のシカ肉やイノシシ肉を食べると、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌や寄生虫による食中毒のリスクがあります」
素人が安易に狩猟してしっかり処理していない野生の肉と、調理段階でしっかり加熱しない肉は、リスクが高い。