近年、スーパーやコンビニエンスストアでペットボトルの回収機を見かける。例えばセブン-イレブンを展開するセブン&アイグループは、回収したペットボトルを新たに飲料製品のペットボトルに作り直す「ボトルtoボトル」という取り組みを進めている。
一方、資源ごみとして自治体に回収されたペットボトルは、別のルートで再利用される。では、その再資源化率はどの程度なのか。J-CASTニュースBiz編集部は各所を取材した。
3163店舗に「回収機」設置
セブン&アイグループでは「2050年までに『セブンプレミアム』を含むオリジナル商品で使用するすべての容器は環境配慮型素材を100%使用する」と目標を掲げている。
その一環が店頭に置かれている「使用済みペットボトル回収機」だ。全国26都道府県3163店舗に設置されている。使用済みペットボトルを回収して、洗浄、選別、粉砕の工程を経て、100%再生PET樹脂使用ボトルの製造に生かしている。
セブン-イレブンの「一(はじめ)緑茶 一日一本」などのボトルは、再生資源で出来ており、「ボトル to ボトル」の「完全循環型ペットボトル」なのだという。
同社では、「サーキュラーエコノミー」(循環経済)形成を目指している。
スーパー「ライフ」を運営するライフコーポレーション(大阪市)も、プラスチック削減の一環でペットボトルのリサイクルを実施。2021年度には、1200トン以上のペットボトルを回収した(図1)。2023年からは、プライベートブランドの飲料での「ボトルtoボトル」を始め、再生PET樹脂を100%使用したペットボトルを使用している。
ライフコーポレーションを取材すると、広報は、「『ボトルtoボトル』は始めたばかりだが、その他プレスチックトレーの再利用や、トレイを使わない精肉の販売などほかのことも行っている」と話していた。
2021年度のリサイクル率は86.0%
一方で、住宅からごみとして出されたたペットボトルは、自治体と契約する回収業者が集め、中間処理施設に運んで圧縮する。運んだ後に重要になるのが「容器包装リサイクル法制度」だ。集められたペットボトルは容器包装リサイクル協会を通じ、リサイクル事業者による入札にかけられる。
PETボトルリサイクル推進協議会の2022年の調査によると、2021年度のリサイクル率は86.0%(図3)で再資源化の用途は「シート」が12万トン、繊維が6万4500トン、「ボトル to ボトル」が11万7600トンとなっている。
同協議会広報は取材に対し、「リサイクル率は、ペットボトルの国内と海外の再資源化率を販売重量で割って(算出して)いる。夏が暑いと販売重量が増え、母数が増えるために数値が上下する。また、海外の再資源化率の上下も関係がある。しかし、一貫して国内の再資源化率は、右肩上がりになっている」
と答えた。また、飲料メーカーが「ボトルtoボトル」を強く推進しており、シートや繊維から用途を転換しているため、近年は数字が高まっているとも説明した。
自治体の中では、神奈川県箱根町、埼玉県吉見町、兵庫県姫路市、東京都港区が「ボトル to ボトル」に取り組んでいる。