衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の補欠選挙が2023年10月22日に投開票され、両補選とも与野党一騎打ちの構図になった結果は「1勝1敗」だった。
翌10月23日の朝刊では、全国紙のうち3紙が社説で補選の話題を取り上げ、総じて政府・自民党に厳しい結果だとみる一方で、その苦戦の理由に関する分析は三者三様だ。
目立ったのは「自身の政治的思惑を優先しているとしかみえない振る舞い」
衆院長崎4区は、自民・岸田派に所属した北村誠吾氏の死去に伴って行われ、自民公認で新顔の金子容三氏(40)=公明推薦=が立憲前職の末次精一氏(60)=社民推薦=を僅差で破った。自民としては「弔い合戦」を制した形だ。
一方の参院徳島・高知選挙区は、元私設秘書への暴力行為を理由に自民・高野光二郎氏が議員辞職したことによるもの。野党は立憲が支援する無所属元職の広田一氏(55)に候補を一本化し、自民新顔の西内健氏(58)=公明推薦=を破った。 社説で補選を取り上げた全国紙は、朝日、読売、産経の3紙。各紙の見出しは
「補選1勝1敗 首相への厳しい民意」(朝日)
「衆参2補選 政権への警鐘と受け止めよ」(読売)
「衆参補選1勝1敗 厳しい戦いの理由考えよ」(産経)
といったもので、総じて自民が苦戦したとの評価だ。
朝日は、結果は「岸田首相の政治姿勢や政権運営に対する厳しい評価とみるべきだ」だとして、「政治姿勢や政権運営」について
「来秋の自民党総裁選での再選に向け、衆院の『解散カード』をちらつかせたり、目先の人気取りのためのバラマキに走ったり、最近の首相には、自身の政治的思惑を優先しているとしかみえない振る舞いが目立っている」
などと指摘した。
読売は、補選の結果は「有権者が岸田首相の政権運営に警鐘を鳴らした結果」だとみており、徳島・高知の敗因を「内閣支持率が低迷していることや、業界団体など組織力の衰えが影響した可能性がある」と指摘。次期衆院選への影響にも言及した。
「『1勝1敗』に甘んじていたら、次期衆院選で首相は厳しい立場に追い込まれるのではないか」
「「『発信』に力を入れる一方で」vs「発信の拙さが指摘されている」
産経は「参院補選の敗北を含め、政権への不信感の表れといえる」。LGBT理解増進法案も一因だとみている。
「政府が進める賃上げが物価高に追いついていないことに、国民は不満を抱いている。女性の安全を守るのが困難なLGBT理解増進法案をまとめ、通常国会で成立させたことも、信頼を損ねた一因だろう」
情報発信のあり方については見方が分かれた。読売は、発信先行で政策実現に向けた道筋が見えない点を指摘する一方で、産経は発信そのものが拙いとしている。
「『発信』に力を入れる一方で、実現に向けた戦略は見えてこない」(読売)
「首相には発信の拙さが指摘されている。所信表明演説や論戦を通じて、国民に伝わる発信を行い、実効性ある政策をスピード感をもって進めてほしい」(産経)
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
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— 産経ニュース (@Sankei_news) October 22, 2023
政府が進める賃上げが物価高に追いついていないことに、国民は不満を抱いている。女性の安全を守るのが困難なLGBT理解増進法案をまとめ、通常国会で成立させたことも、信頼を損ねた一因だろう。