お祭り会場で小型犬に噛まれたとするX(旧ツイッター)の投稿が話題となっている。飼い主の夫婦は噛んだことを認めず、立ち去ってしまったという。J-CASTニュースは投稿者に詳しい話を聞いた。
弁護士はこのようなペット関連でのトラブルが起きた場合、「その場で連絡先を交換することが大切」とアドバイスする。
その後飼い主と話すことはできず
投稿者の「みけ」さんは2023年10月14、15日に開催されていた川越祭り(埼玉県川越市)の会場でパグに噛みつかれたと言い、J-CASTニュースの取材に対し、次のように状況を説明した。
「市役所前にあった焼きまんじゅう屋さんに行こうと本川越駅方面から向かっている途中、突然パグが足に飛びかかってきて、そのまま噛みつかれました。飼い主さんはお店のシャッター前にしゃがみこんで興奮したパグをなだめていたところで、ちょうど私が前を通りかかったタイミングでパグが手から離れ、噛みついたという状況だったように思います」
飼い主の夫婦はパグ犬が噛んだことに気づいていた様子だったという。
「手から離れたパグを『あっ!』と目で追っていたので、見ていたと思います。すぐにパグのリードを引っ張り『ごめんなさい』とおっしゃったのですが、私がけがを確認し、引き返してけがを見せたところ投稿通りの反応(『噛む前に止めました』『そんなとこうちの子は噛めません(笑) 』『 (犬に向かって)噛めないよねぇ?』などの発言)で、しらばっくれていました。らちが明かないので私が警察に電話をかけたら、旦那さんの方が『話しにならない!』と逃げて行ってしまいました」
警察からの指示により追いかけることはしなかったため、その後飼い主と話すことはできていないという。
「通報時に電話口で対応した方に『追わないで!追ってトラブルになる可能性があるから!』と言われたので、追うことはしませんでした。10分後くらいに警察の方が来て、事情をひとしきり聞いた後、『犬に噛まれると感染症などが心配だから早く病院に行く方がいい。歩いたりして菌がまわるかもしれないから』と救急車を呼んでくださいました。救急車を待っている間に、警察の方が傷や私の全身を写真に撮り、情報を残しておくとおっしゃいました」
噛まれてしまった側、飼い主側それぞれがすべき対応とは
他人のペットに噛まれてしまった場合、どのように対応することが正解なのか。弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所の小林貴行弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、他人のペットに噛まれけがをした場合には、原則としてその飼い主に損害賠償を請求できると答える。
「民法718条に『動物の占有者はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う』という条文があります。そのため、法的には、けがをしたのであれば治療費や慰謝料、あるいはお仕事を休む必要が生じれば休業損害を、損害賠償として請求することができます。もっとも、噛んだペットやその飼い主がわからなくなってしまうと、事実上請求は困難です」
その上で、被害者には次のように提案した。
「何よりも自分の体が大事なので、傷口の応急処置が最優先です。また、医療機関には必ず当日か翌日には行くようにしてください。こうした前提の上で、しっかりとした損害賠償を受けるという視点で考えると、(トラブルの危険性がない場合には)現場で飼い主さんと連絡先の交換をする、噛んだペットの写真を撮らせてもらうなど、可能な範囲で証拠の保全をすることをおすすめします。現場での証拠がない中で噛んだペットやその飼い主を後から特定するのは、警察でもほとんど不可能ではないかと思いますので。トラブルになる危険がある場合には、施設の管理者や警察をすぐに呼び、連絡先の交換ができる状況を整備してもらうことをおすすめします」
反対に、自身の飼っているペットが他人にけがをさせてしまった場合について、小林弁護士は「その場で自分の身元を明らかにし、きちんと賠償対応しますという誠実な対応をとるのが大事です。逃走するなど不誠実な対応をした場合、刑法の過失傷害罪等として警察の捜査対象になる場合もあります」とした。
また、小林弁護士はあらかじめ保険のペット賠償責任特約に加入しておくこともすすめる。
「保険のペット賠償責任特約に入っていれば、被害者の損害は保険から賠償されます。民事事件できちんと保険で賠償されるのであれば、仮に刑事事件となっても『刑事処罰の必要はない』との結論で終わるのが一般的です。こうした特約は、ペット保険に附帯されていることが多いですが、『個人賠償責任保険』などの名称で家の火災保険や自動車保険に附帯されていることもありますから、一度ご自身で確認されてみることをおすすめします」