噛まれてしまった側、飼い主側それぞれがすべき対応とは
他人のペットに噛まれてしまった場合、どのように対応することが正解なのか。弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所の小林貴行弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、他人のペットに噛まれけがをした場合には、原則としてその飼い主に損害賠償を請求できると答える。
「民法718条に『動物の占有者はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う』という条文があります。そのため、法的には、けがをしたのであれば治療費や慰謝料、あるいはお仕事を休む必要が生じれば休業損害を、損害賠償として請求することができます。もっとも、噛んだペットやその飼い主がわからなくなってしまうと、事実上請求は困難です」
その上で、被害者には次のように提案した。
「何よりも自分の体が大事なので、傷口の応急処置が最優先です。また、医療機関には必ず当日か翌日には行くようにしてください。こうした前提の上で、しっかりとした損害賠償を受けるという視点で考えると、(トラブルの危険性がない場合には)現場で飼い主さんと連絡先の交換をする、噛んだペットの写真を撮らせてもらうなど、可能な範囲で証拠の保全をすることをおすすめします。現場での証拠がない中で噛んだペットやその飼い主を後から特定するのは、警察でもほとんど不可能ではないかと思いますので。トラブルになる危険がある場合には、施設の管理者や警察をすぐに呼び、連絡先の交換ができる状況を整備してもらうことをおすすめします」
反対に、自身の飼っているペットが他人にけがをさせてしまった場合について、小林弁護士は「その場で自分の身元を明らかにし、きちんと賠償対応しますという誠実な対応をとるのが大事です。逃走するなど不誠実な対応をした場合、刑法の過失傷害罪等として警察の捜査対象になる場合もあります」とした。
また、小林弁護士はあらかじめ保険のペット賠償責任特約に加入しておくこともすすめる。
「保険のペット賠償責任特約に入っていれば、被害者の損害は保険から賠償されます。民事事件できちんと保険で賠償されるのであれば、仮に刑事事件となっても『刑事処罰の必要はない』との結論で終わるのが一般的です。こうした特約は、ペット保険に附帯されていることが多いですが、『個人賠償責任保険』などの名称で家の火災保険や自動車保険に附帯されていることもありますから、一度ご自身で確認されてみることをおすすめします」