「原稿料だけで生活できない」漫画家の嘆き、インボイスで注目 専門家警鐘「業界が改善しなければ衰退する」

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新人や読切を続ける段階の漫画家にとって「原稿料だけで生活するのは確かに厳しい」

   X上の意見の通り、原稿料のみで生計を立てることが難しいほど原稿料の相場は安いのか。三河さんは「デビュー間もない新人漫画家や、連載を目指して読切を書き続けている段階の漫画家さんにとっては、原稿料だけで生活するのは確かに厳しい」とし、次のように見解を述べた。

「ヒットが出れば、単行本の発売による印税収入があるので、原稿料がアシスタント代や仕事場の家賃や光熱費に当てられたとしても、単行本売上利益が手元に残ります。ヒット作が出るまで持ち堪えられるかどうかの瀬戸際にいる漫画家さんにとっては『原稿料で生活ができない』し、その段階にいる漫画家の原稿料の『相場が安すぎる』ことになります。ヒット作に恵まれて十分な利益を得た漫画家は『原稿料が安い』『相場が安すぎる』という実感はないので、(そのような)発言はされないと思います。

ヒット作に恵まれる前の新人漫画家や、なかなかヒット作に恵まれず漫画家を続けることが難しくなってきた漫画家さんから見たら『相場が安い』ことになるので、そういった発言が目立つのではないでしょうか? 人気商売なので、売れれば原稿料が上がり、売れなければ原稿料は上がらないわけで、『相場』という概念を持ち込むのが難しいようにも感じます」

   しかし、書籍や雑誌の販売額がピークアウトし「出版バブル崩壊」と言われる1997年以前と現在では、漫画家の収入事情が大きく変わっているという。

「出版バブル崩壊以前は、新人漫画家が連載企画をコンペに通すまで、原稿料が入らなくても生活できるように年間契約料(200万~300万円くらい)を支払う制度を設けている出版社も少なくありませんでした。連載を持って独り立ちするまでは、売れっ子漫画家さんの会社にアシスタントとして入社し給料をもらい、売れっ子漫画家さんにも育ててもらうなど、原稿料が安い新人漫画家が貧しいながらも、健康に漫画創作に打ち込める環境を周りが作っていたのですが、バブル崩壊後はそういった余裕がなくなってしまいました。

また、(出版バブル崩壊以前は)漫画雑誌がたくさんあったので、ヒット作に恵まれない漫画家であっても、活躍する場があり、それなりに生活を続けることができました」

   その上で、漫画家から「原稿料だけで生活ができない」という声が上がる現状に警鐘を鳴らした。

「ヒット作を出していなくても漫画家を続けていられるような余裕が、豊かな土壌となって、多くの名作を生み出してきたことを思うと、『原稿料だけでは生活できない』という漫画家の嘆きに対して、業界が現状の改善に取り組まなければ、日本の見開き漫画文化は衰退していくのではないかととても心配しています」
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