秋田県をはじめ東北地方で、クマが頻繁に出没し人への被害が多数に上っている。実は、東京都をはじめ首都圏でも、クマの目撃情報が増えているのだ。2023年10月はじめ時点で、都内では奥多摩町、青梅市、あきる野市、八王子市で計100件の通報があったという。
クマ対策グッズとして代表的なものに、撃退スプレーが挙げられる。これからの行楽シーズンにキャンプや釣り、登山を安心して楽しむために購入しておきたいが、取材を進めると首都圏でも品薄が発生しているようだ。
登山用品店、釣具店で
東京都環境局が2023年10月10日に発表した「令和5年度 東京都ツキノワグマ目撃情報」によると、奥多摩町、青梅市などの都下で、10月2日までに100件のクマ目撃情報が寄せられた。埼玉県秩父市では10月20日までに山林で25件、神奈川県では丹沢山地を中心に40件、クマ目撃情報が寄せられている。いずれも今年度の数字だ。
家族でこうした場所を訪れたり、ソロでキャンプや釣りに出かけたりした時にクマに出くわしたら――。そこで、身を守るクマ対策グッズを購入できる首都圏の店舗を調査した。
東京・神田神保町にある石井スポーツ登山本店を取材すると、クマ撃退スプレーとクマよけ鈴を取り扱っていると回答した。売り場担当者は「ニュースなどをみて、登山に向けて撃退スプレーを購入されるお客様は多い。売り場の在庫も残りわずかになっている」と話した。同店のような登山用品店では、撃退スプレーを取り扱っているところもあるようだ。
釣具店・サンスイ渋谷店は、撃退スプレーについて売り場担当者が答えてくれた。「マス釣りに出かけるお客様がよく買っていく。自分の身は自分で守らなければという意識があるようだ。よく買われていて現在、在庫は僅少となっている」と説明していた。
5メートル離れてクマの目元を狙って
東京・秋葉原で護身用品を扱う「ボディーガード 東京アキバ店」。ここでも、クマ撃退スプレー「BEAR ATTACK」を取り扱っているという。電話取材すると、「『BEAR ATTACK』は消火器のような形状になっており、射程距離は7~8メートル。クマから5メートルほど距離を取って、敏感な鼻先や目元に向けてスプレーしてほしい」と実践的な使い方を教えてくれた。
ホームセンター大手コメリ(本社・新潟)は、首都圏で店舗展開している。クマ撃退スプレーと、家の周辺などに撒くクマ忌避剤、クマよけ鈴の取り扱いがあるそうだ。広報は「撃退スプレーは在庫がある店舗が限られるが、なくても取り寄せできる。クマ忌避剤は多くの店舗で取り扱っており、現在問い合わせが増えてきている」と説明した。
なおインターネットでも、クマ撃退スプレーは入手できる。ネット通販「Amazon」や「ヨドバシ.com」で、取り扱いを確認できた。数種類あるようで、売り切れ表示が出ているものもあるため、注意が必要だ。