県は改善を進めるも「仕組みとして難しい部分もあるのでは」
千葉県はJ-CASTニュースの取材に対し、2022年の児童相談所職員の退職者は入社5年以内の人が半数近くだといい、採用活動や採用後のギャップ解消のため、人材育成に力を入れる方針で、専門部署「児童家庭課人材育成確保対策室」を新設したとした。また、26年に児童相談所を2か所新設するほか、既存の児童相談所の建て替えも予定しており、労働環境の改善に向けて動いているところだという。
県のこれらの改善策に対し、飯島さんは次のように述べた。
「県の動きとしてはもちろん歓迎しています。ですが、逆にこれまで人材育成の専門部門がなかったことは驚きです(確かに私たちのときにも、一時保護所向けの研修はありませんでした)。
また児童相談所の新設は重要ですが、人員確保をどうするのだろうというのは、現場の人たちはみな口を揃えて話しています。柏市や船橋市の児相もでき、派遣するなどの協力をするとはいいますが、そもそも県の児相すら人員不足なのに可能なのかというのは疑問です。
私としては、まず県の児童相談所の労働環境については、少なくとも労働基準法や地方公務員法の最低限のルールを守らせるべきかと思います。まず話はそこからかと思います。そうでなくては人が入ってきても、やめたり、休んだり、もしくは悪い噂が広がって人が集まらなくなります。優先順位としては、労働環境の整備が優先かと」
その上で、すぐに動けない行政の仕組みにも理解を示した。
「変わろうとはしているんだろうなという印象はあります。(児相以外の)他の取り組みですけど、児童養護施設を退所した子どもたちの奨学金制度を作るなど、子どもに関する取り組みは今進みつつあると思います。ただ、職員の配置基準に関しては、多分行政機関としてすぐに動くのが難しいのではないでしょうか。それまでの慣例とか、システム的に動かす仕組みがないとか、誰かの一存ですごく変わる仕組みではないので、きっかけがないと変わるのは難しいんだろうなとはすごく思っています。今どうしても、事業としては削減削減で、予算を抑える方向ですから。仕組みの問題であって、特定の誰かが悪いというわけではないだろうとは思っていますね」