「ジャニーズ、私ならこう改革する!」コンプライアンスのプロに聞く(前編) 報告書があぶり出した「ひどい企業実態」

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「私は知らなかった」は、経営者のNG言葉

――つまり、現在の経営陣の体制では、従業員のアンケート調査を行なっても、自由な意見やホンネが出てこない可能性が高いというわけですね。

前島さん そのとおりです。企業には「100人の壁」があります。経営者が、従業員ひとり一人が何をしているか把握できるのは100人が限度。100人を超えたら、経営陣と一般従業員の間に管理職を配置して、きちんと権限委譲をするのが経営の基本です。しかし、旧ジャニーズ事務所では管理職層が全く機能しておらず、まだその人たちが残っています。

ビッグモーターの前社長が会見で「私は知らなかった」と言いました。同様にジュリー景子氏も「私は知らなかった」と同じことを言っています。社内で行なわれていることを知らなかったというのは、経営者としてNG、職務を放棄しているのと同等である証拠です。東山氏も会見で「私は知らなかった」という趣旨の発言をしています。

――東山氏ら新体制の経営陣は、能力的にも、また従業員からの信頼度の面でも不安があるというわけですね。では、前島さんなら経営陣にどうアドバイスしますか。

前島さん 外部から参謀を呼ぶことを強く勧めます。経営陣に耳の痛いことをビシッと直言できる人物です。私が好きな経営者に「世界のホンダ」の創業者・本田宗一郎がいるのですが、彼には技術畑出身の藤沢武夫という名参謀がおりました。宗一郎は藤沢の言うことは何でも聞いて、実印を預けて経営を任せたと言います。

旧ジャニーズ事務所内には、モノ言えぬ同族経営の風土がずっと続いてきましたから、参謀が務まる人がいるとは、とても思えません。
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