「過酷な労働環境で精神疾患」退職に 元児相職員、千葉県提訴から1年3か月「権利救済超え、職員や子どもの環境良くしたい」

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   千葉県内の児童相談所の元職員である飯島章太さんが、長時間労働など過酷な労働環境から精神疾患を発症し退職を余儀なくされたとして、県に対し未払賃金や慰謝料の支払いを求めた裁判の第6回期日が2023年10月18日に千葉地裁で行われた。今回、飯島さんの労働時間を把握するための資料が、被告である県から提出された。

   原告の飯島さんはJ-CASTニュースの取材に対し、「権利救済を超えて、他の職員さんや児童相談所にいる子どもたちの環境が良くなるようにするにはどうしたらいいのかということを考えています」とコメントした。

  • 千葉地裁
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  • 千葉県公式サイトより
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何度も請求してやっと労働時間のわかる資料が提出された

   飯島さんは2019年4月に児童指導員として市川児童相談所の一時保護所に配属された。しかし、慢性的な人員不足からの長時間労働などにより体調を崩し、2回の療養休暇を経て、2021年11月に退職。2022年7月21日に千葉地裁に提訴し、未払賃金や慰謝料の支払いを求めた。

   2023年10月18日の第6回期日では、原告側の求めにより飯島さんの労働時間に関する資料が県から提出されたが、飯島さんによると、これまで県へ何度も請求してやっと提出されたのだという。

「最初に情報公開請求をした時は、2年分しか出せないということで、在職していたすべての期間の労働時間が把握できるものではありませんでした。同時に訴訟の中でも県へ(資料の)提出を求めていたのですが、出てきたのは残業時間のみでした。いつ働いていつ終業したのかという具体的な情報については出てこなかったんです。1回目の情報公開請求の後、県から電話があって『他にも出せるものがあったのでもう一度情報公開請求をしてください』と言われていたので、もう一度手続きをしたのですが、裁判で提出されたのとほとんど一緒のものでした。それで前回の裁判期日の時に、労働日と労働時間、終業時間がわかる資料を出してくださいと言って、今回ようやく出てきたんです」

飯島さんが説明するこの裁判の意味

   飯島さんはこの裁判の意味を次のように説明する。

「私たちとしては(1)昼休憩時間も働いていたので、それに対する未払い賃金請求(2)夜勤の仮眠時間は労働にあたるため、未払い賃金請求(3)また上記の過酷な労働環境に起因する精神疾患によるダメージに対する慰謝料請求――がメインです。

とはいえ、私たちとしてはこの裁判は『政策形成裁判』としての意味合いが強いです。裁判がきっかけで千葉県また全国の児童相談所の政策に影響があることを狙っています。裁判という形式上、金銭請求がメインとなってしまいますが、狙いは(1)未払い賃金の存在を県に認めてもらい、他の職員についての未払い賃金を払ってもらうこと(2)児童相談所の労働環境の改善(3)職員の労働環境がよくなることで、子ども達にケアが届くようになること――以上が大事だと考えています」

   飯島さんは、2022年から始まった裁判も折り返しに来ているといい、今後について次のように語った。

「これまでの主張としては、基本的には私の労働実態などが中心で、個人の権利救済という意味では弁護団の方がすごく頑張ってくださっています。ですが、権利救済を超えて、他の職員さんや児童相談所にいる子どもたちの環境が良くなるようにするにはどうしたらいいのかということを考えています」
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