働き盛りの30・40代にとって、年収アップへの近道はないだろうか。MS-Japan(東京都千代田区)が2023年9月22日に発表した「【2023年版】ミドル世代の雇用実態レポート」によると、首都圏の平均年収は563万円、東海と関西圏では451万円であることがわかった。
調査では、年収1000万円を超える割合は7%弱。転職で年収1000万円にたどり着くために、すべきことは何か。取材した。
ポジションを上げる転職になるか
調査では2023年1~6月、人材紹介サービス「MS Agent」に登録のあった30~49歳の転職希望者を対象に、会員4306人登録データを元に集計・分析した。
年収額別のグラフ(図1)で最多は、「400万~599万」の39.0%だった。次いで、「399万以下」が30.0%、「600万~799万」が17.9%、「1000万以上」が6.8%という結果になった。(図1)
また、職種別の平均年収額で最高になったのは「監査法人」で928万円、次いで、「コンサルティングファーム」の779万円、「経営企画」の733万円、「法律事務所」の712万円という順番になった。(図2)
一方、プレスリリースには「最新のミドル世代の転職市場」について、以下のコメントがある。
「30~40代のミドル世代の需要は高い状態が続いています。市場全体としても求職者が優位な売り手市場であるため、即戦力~管理職候補となるミドル世代は特に有利な層と言えるでしょう」
ミドル世代が転職活動で有利な条件を得るために、具体的にどうすればよいか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査元である人材紹介サービスを展開する「MS-Japan」執行役員の清水悠太氏を取材した。
――転職で年収アップをするには、どの業界を狙うのがいいでしょう。
清水氏 一般的に平均給与の高い「金融」、「メーカー」、「総合商社」に転職すれば年収が上がります。ほかにも、産業が拡大していて人員増員を図っているような業界が狙い目です。「IT・通信」、「インターネット広告」など成長産業は積極的に増員をしているので年収アップを図る機会が多い傾向があります。
――現在、給与水準の高い会社で働いている人が、いま以上の高収入を得るためには?
清水氏 方法は3つ考えられます。1つ目は、今いる会社で成果を出し続けて着実に昇進・昇格することを考えてください。これが王道です。
2つ目は、自社よりも事業規模や利益が大きい会社で求められるスキルを身に着けて転職して、年収を上げる方法。この場合、現職よりも高い成果が求められる環境で、一から評価を積み上げる覚悟と努力が必要です。
3つ目は意外に思われるかもしれませんが、いまよりも事業規模の小さい会社に転職する方法があります。
――事業規模の小さい会社に転職するのは、年収が下がってしまいそうな気がしますが。
清水氏 ポイントになるのは、規模を小さくするのに対して、ポジションを上げる転職になるかです。例えば、現在の会社で部下20人のマネジメントをする課長がいるとします。その人が規模の小さい会社に転職して部下20人をまとめる場合、ポジションは複数部門をまとめる本部長になる可能性があり、職責が広がった分、年収を上げることができます。
キャリアチェンジで有効なのは
――今よりも事業の進んでいる同業種に転職するためには、どんな準備が必要ですか。
清水氏 自分のできることの整理や経験の棚卸しは必要でしょう。その上で、新しい会社が必要としている人材を把握して、これまでの経歴をアピールしていく方法があります。
その上で不足しているスキルは、リスキリングや資格取得で身に着けること、求人募集が発生するタイミングを逃さないように常にアンテナを張っておくことです。
特にキャリアチェンジするという観点でいえば、資格取得が有効です。弊社が得意とする管理部門や士業の転職では、日商簿記2級、社会保険労務士といった業務に関連する資格を取得することで、管理部門や士業にキャリアチェンジをするという人も少なくありません。
その業種・職種で必要とされる資格を取得することで、年収アップのチャンスをつかむことができるかもしれませんね。