保護者名乗り学校にTEL→正体は「マンション勧誘」だった...「嘘つき営業」なぜなくならない?

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   教員をしているというX(旧ツイッター)ユーザーの「職場に保護者を名乗る人から電話があり、対応したらマンションの営業だった」という旨の投稿が話題となっている。投稿に対しては、学校以外に病院でも医者に「緊急です」などとして営業電話が来るというコメントも多く寄せられた。このようないわゆる「迷惑営業」はたびたび話題となり非難されているが、なぜなくならないのか。

   J-CASTニュースはオンライン上の営業研修サービス「営業サプリ」を監修する大塚寿さんに話を聞いた。

  • 画像はイメージです。
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  • 悪質なマンション勧誘への注意喚起(国土交通省公式サイトより)
    悪質なマンション勧誘への注意喚起(国土交通省公式サイトより)
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  • 悪質なマンション勧誘への注意喚起(国土交通省公式サイトより)

大手企業でも使われた手法

   大塚さんはJ-CASTニュースの取材に対し、迷惑営業がなくならないのは「ゲートキーパー(編注:担当へ繋ぐ窓口)を突破し、確実に(決裁権のある)キーパーソンと話せる手法だから」だとし、次のように説明した。

「大量に電話をかけ、キーパーソンに繋がりさえすれば、興味本位で聞いてみようという人もコンマ数パーセントは出てきます。何千本電話をかければ、何人話を聞いてくれて、その中から何人成約する、というような割合の(各社で収集した)データがあるわけです。なので、最初にその数だけ電話をかけることが大事になってきます。

もっとスマートで効果的な営業方法もあると思いますが、それをしようとするとものすごくお金がかかります。電話営業だと属人的なスキルでもなんとかなるため、ある程度のコストですみます。成果、費用対効果という意味でそれなりの生産性の高さがあるので、なくならないのです」

   大塚さんは、法的、倫理的に問題となる可能性があるため「嘘をつくのはご法度」だとしつつも、例えば「銀座のミナコです」などと名乗り、社名や要件を明確にせずにキーパーソンへ繋げさせる手法は、大手有名企業でも使われていたとした。

   しかし、この手法では、成約につながらなかった大量の営業先には迷惑がられ、嫌われることになる。それでも迷惑営業を選択する理由について、大塚さんは次のように見解を述べた。

「(迷惑営業をする人は)『自分はいいものを売っているんだ』という自信があったり、自己暗示をかけていたりします。結果的に顧客のお役に立つなら、導入が多少失礼であったとしてもいいよねという論理です。

例えば1日100件電話をかけて、97件にないがしろされたとします。3件はアポが取れて、一生の人間関係になっていくこともある。断られた97件の営業先は、3件の大切なお客様を得るための代償のようなものです。また、今は(商品を)必要としていないかも知れないけど、将来は必要になるかも知れないので、一応みんなにお声がけしてみようという考え方もあります」

   さらに、営業パーソンの給与形態も背景にあるとした。

「歩合制やインセンティブの影響もあります。。投資用不動産の営業などに散見され、マンションを1件売ると、それだけで100万円単位の収入になることもあります。それがモチベーションになっている人も多い。『何がなんでも(成約を)取るぞ』という姿勢が、営業の際のお行儀をどんどん悪くしている向きもあるように思います」
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