藤井聡太8冠の経済効果は35億円 キムタク「信長」150億、大谷翔平458億のすごさ

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   藤井聡太8冠が誕生した。将棋界で史上初となる、8大タイトル全制覇だ。その経済効果を試算した人物がいる。関西大学の宮本勝浩名誉教授によると、藤井氏の8冠獲得から1年間の経済効果は約35億3487万円に上るという。

   宮本名誉教授は、これまでも日本のアスリート・芸能人の経済効果を試算、発表している。35億円もすごいが、これを上回る金額もみられた。

  • 前人未到の全8冠制覇
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「個人プレイヤーとしては空前絶後の経済効果」

   約35億3487万円という金額について、同教授が試算した資料に基づくと、主な経済への影響は以下のとおりだ。

1.基本給、タイトル獲得料・防衛料、対局料などの収入
2.コマーシャルなどのスポンサー収入
3.一般棋戦の賞金、将棋教室、イベント参加料、指導対局料などの収入
4.本、ゲームアプリ、グッズ販売などの売上額
5.将棋会館に行く藤井ファン、将棋ファンの消費額
6.観光客誘致による売上増加額(観光地での対局の効果)
7.その他の売上増加額
(以下、引用部分は宮本勝浩 関西大学名誉教授による試算)

   具体的に見てみよう。「1.基本給、タイトル獲得料・防衛料、対局料などの収入」では、藤井8冠の基本給を毎月約120万円と想定し、ボーナス2回分の480万円を合計し、約1920万円としている。

   また、各タイトルの獲得賞金と対局料では、

竜王:賞金約4320万円 + 対局料約1000万円 = 約5320万円
名人:賞金約1200万円 + 対局料約1050万円 = 約2250万円
叡王:賞金約1200万円 + 対局料約400万円 = 約1600万円
王座:賞金約700万円 + 対局料約500万円 = 約1200万円

などがあり、藤井棋士が8冠を獲得した時の基本給、タイトル獲得料・防衛料、対局料などの合計は約1億5990万円としている。

   さらに、注目したいのが「5.将棋会館に行く藤井ファン、将棋ファンの消費額」だ。全国4か所の将棋会館の訪問客の増加や、藤井8冠が対局で食べた「勝負めし」や「おやつ」の売り上げが計上されている。

「例えば、高槻市で藤井棋士が対局した時におやつに食した菓子店舗『薩喜庵』『はにたん最中』(1個約280円)があっという間に10万個を売り上げたり、同じく高槻市の菓子店舗『井づつ』の『いちご大福』(1個約200円)がたった1日で500個を売り上げたりしている」

といった具合だ。

   宮本名誉教授は藤井棋士の活躍について、プレスリリースで、

「個人プレイヤーとしては空前絶後の経済効果であり、観客数が限られる将棋の世界において、一人の棋士が1 年間で約35億3487万円の経済効果を生み出すことは素晴らしい」

とコメントしている。

木村さんは「ぎふ信長まつり」のみ

   宮本名誉教授はほかにも、近年活躍するアスリートや芸能人による経済効果も調べている。それぞれ、藤井8冠のものと比べて条件は微妙に異なるが以下、同教授による詳しい調査資料を引用しよう。

   大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。2022年の経済効果を宮本名誉教授は、約457億941万円と推定した(同年10月6日発表)。なお、この調査は同年のエンゼルスのシーズン開始から終了までを推計している。

   米国での本拠地やビジターでの試合の観客動員が増えたことや、日本向けの放映権収入などを合算して約194億6176万円。日本国内における応援グッズやツアーの売り上げで約17億程度など、全て合計して約457億円という。

   宮本名誉教授は、日本のプロ野球球団と比較。「阪神が2005年に優勝した時の経済効果は643億円(宮本研究室)、2007年の巨人の時は640億円(評論家平野和之氏)、2015年のソフトバンクの時は403億円(福岡県調査統計課)であったことから考えれば、大谷選手一人で約457億円の経済効果をもたらすことになれば、いかに大谷選手が偉大な選手であるかということがわかるであろう」としている。

   俳優・木村拓哉さんが織田信長に扮して、「ぎふ信長まつり」に参加した2022年。この経済効果は約150億2412万円と、宮本名誉教授は推計した(同年11月14日発表)。これは、「ぎふ信長まつり」の経済効果のみを対象としている。

   この年、3年ぶりの開催だった「ぎふ信長まつり」には木村さんや、俳優の伊藤英明さんが騎馬武者行列に参加。2日間の人出は、過去最高の62万人となった。宮本名誉教授は「事実、『信長公騎馬武者行列』には観覧者をネットで募集すると、定員1万5000人に対して、全国から96万6555人の応募があった。これは、岐阜市の人口約40万3000人の2倍以上の応募であった」と報告書に書いている。

「火花」メディアミックスで105億円

   また、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの監督に新庄剛志氏が就任した際の経済効果を、全国で約59億6434万円と推計した(2021年11月1日発表)。北海道内への影響は53億6791万円とした。これは、2022年度の1年間の推計としている。

   さらに2015年、お笑いコンビのピース・又吉直樹さんが第153回芥川賞を「火花」で受賞した際の経済効果について、書籍関係のみで89億5622万円、ドラマ化や映画化といったメディアミックスを含めると105億1322万円と推計している(同年12月16日発表)。なお、調査方法として、2015 年11 月末の段階で推定発行部数、「火花」が掲載された『文學界』2015 年2 月号の発行部数、芥川賞受賞作品を掲載した月刊総合雑誌『文藝春秋』9 月特別号、さらに、電子書籍になった『火花』のダウンロード数の総金額を計算している。

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