「婚活」後押しする行政の取り組み パーティーにAI...コロナ禍を経て支援の形は今

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   自治体が、いわゆる「婚活」を支援する取り組みは新型コロナウイルス流行前から行われている。各地で行政がパーティーやイベントを開き、未婚者の結婚を後押ししてきた。

   コロナ禍の約3年間、感染拡大防止のため各種イベントは中止を余儀なくされた。2023年年5月、コロナが「5類感染症」の位置づけに変わり、ようやく人々が気兼ねなく集まれるようになった今、行政主導の「婚活パーティー」や「街コン」は、どうなっているのだろう。複数の自治体を取材した。

  • 自治体が支援する婚活支援は、どうなっているのか(写真はイメージ)
    自治体が支援する婚活支援は、どうなっているのか(写真はイメージ)
  • 自治体が支援する婚活支援は、どうなっているのか(写真はイメージ)

定員30人に100人ほどが申し込む人気

   神奈川県は2023年、「婚活パーティー」を再開した。「逗子マリーナクルーズ婚活」や「都筑野菜でヘルシークッキング講座」などだ。神奈川県福祉子どもみらい局の担当者によると「30人の定員に100人ほどの申し込みがあり、抽選で参加者を決めるほど人気になっている」という。

   同県では婚活支援イベントを、2015年にスタート。18年からはイベントの実施を県内の市区町村ごとに任せていたが、以降コロナ禍で中止になったイベントも多かったという。だが、県内の婚姻率が下降していることを受けて、結婚の機運醸成として23年から県が主体となり、15年から行っている婚活支援イベント「恋カナ!」を再始動させた。

   山形県は、2018年頃から婚活支援イベントを始めた。だが、20年頃には全て中止し、県内で結婚した人への特産品ギフト贈呈に方針を転換した。

   しかし2022年、AI(人工知能)が相性のいい相手を勧めてくれる「Ai(あい)ナビやまがた」を導入した。県民もしくは同県への移住を考える人が対象で、身分証明書と戸籍抄本か独身証明書、収入の証明書を示して、県内4か所の登録場所やオンラインで会員登録できる。それにより、オンラインや登録場所で異性の顔写真や趣味などのプロフィールを閲覧でき、気になった相手が見つかったら日程を調整して1対1のお見合いを申し込めるもの。お互いの同意があれば、交際に発展する。2023年8月末で登録者数は1266人、累計の成婚数は363組だそうだ。

   県の婚活支援事業の担当者は、「利用しているコア層は男女ともに30~40代が多く、登録している男性50代はマッチングが少なくなっている。多世代を取り込むために広報に力を入れていきたい」と話した。

コロナ禍でも地道に続けた「地域の仲人さん」

   地域に密着した結婚相談を無料で、しかもコロナ禍の際も工夫して続けてきた自治体もある。「婚活おせっかいマスター」を展開する、兵庫県丹波市だ。

   取り組みのスタートは2016年。市認定のボランティアである「婚活おせっかいマスター」が、月数回開かれる個別相談会で結婚の相談に乗る。このほか、男女の交流会をセッティングしたり、相性のよさそうな登録者の男女がお見合いする機会をつくったりと、「地域の仲人さん」のような取り組みを地道に続けてきた。

   丹波市子育て支援課によると、「おせっかいマイスター」は現在7人。コロナ禍でも、規模を抑えた3対3の茶話会を行うなど取り組みを続けてきたことで、2020年に30人だった結婚相談登録者も、現在は48人となっている。

   課題には「会員(登録者)の男性の割合が高く、女性が低い。お見合いの回数に限りがあるため、場合によっては民間マッチングサイトを併用してもらうこともある」と男女のアンバランスが課題になっているようだ。

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