東京ブギウギは「知らない人はまずいません」
昔の楽曲の「替え歌」を使うケースについて、放送コラムニストの高堀冬彦氏は、CMに替え歌が使われる場合、元の曲に消費者への訴求力があるとCM制作者には判断されている、と解説する。
「NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロイン・花田鈴子のモデルである笠置シズ子さんが歌った『東京ブギウギ』の替え歌はアサヒビール『クリアアサヒ』などのCMに使われてきましたが、狙いはまず、やはり浸透度。古い歌でありながら、繰り返し映画、ドラマ、CMで使われてきたので、知らない人はまずいません。また、この曲を使うだけで容易に戦後ムード、レトロムードが出せます」
同様の例として、高堀氏は1977年に発売されたピンクレディの楽曲「渚のシンドバッド」も挙げた。
「古い曲のほうが浸透度は高くなりがちです。ピンクレディの『渚のシンドバッド』などは夏になるたび、毎年のように流れ、CMなどに使われてきましたから。日本人に擦り込まれていると言ってもいいです」
やはり、かつて大ヒットした曲は幅広い世代に訴求力があるようだ。その一方で、高堀氏は、特定の年齢層を狙うことで、複数の世代への訴求をはかる方法もあると語る。
「『太陽とビキニ』は2008年の曲。当時、中高生だった世代は母親世代になっています。親子に向けて売りたい商品のCMソングは古い歌のほうが親の世代に刺さります。一方で、一周回っていますから、子供の世代には新鮮です」
前述したように、「東京ブギウギ」を「クリアアサヒ」のオリジナルCM曲だと我が子が認識していたとするものは、まさにこのことを指すといえるだろう。