ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会1次リーグD組最終戦が2023年10月8日に行われ、日本がアルゼンチンに27-39で敗れた。日本は2勝2敗の勝ち点「9」でD組3位となり、19年W杯日本大会に続く8強入りはならなかった。D組は4戦全勝のイングランドが1位、3勝1敗のアルゼンチンが2位で決勝トーナメント進出を決めた。
勝利すれば8強入りが決まったアルゼンチン戦。日本に何が足りなかったのか。勝負を分けたポイントは...。元日本代表で15年W杯イングランド大会に出場した経験を持つ藤田慶和氏(三重ホンダヒート、30)はJ-CASTニュースの取材に、アルゼンチン戦を分析しながら今大会を総評し今後の課題を示した。
「ちょっとしたミス、判断ミスが明暗を分けた」
試合は開始早々の前半2分、アルゼンチンにトライを許し先制された。日本は前半16分にトライとコンバージョンキックを決め同点とした。その後、互いにトライを奪い前半を14-15で折り返した。
後半に入っても互いに譲らず接戦が続き、後半16分にはFBレメキ・ロマノラバが約35メートルの位置からドロップゴールを決め20-22まで迫った。2分後にトライを許すも後半27分に再び2点差とした。追い上げムードが高まるなか、後半28分にトライを奪われると、徐々に点差が開き12点差で負けた。
藤田氏は「日本のやりたかったアタックはできたと思います」とし、次のように解説した。
「ディフェンスも非常に良かったです。アタックに関してはトライを取り切る場面でのちょっとしたミス、判断ミスが明暗を分けたと思います。大きなミスではなく本当に細かいミスです。アルゼンチンに勝てるシナリオは確実に描けていた試合だったと思います。日本はハイプレッシャーのなかで基礎的なことをやり続けることのできるチームですが、今回はできませんでした」(藤田氏、以下同)
アルゼンチンは個々の能力が高く、フィジカル的なプレッシャーも強かったという。これに対して日本はチーム力で対抗するもあと一歩のところで勝利を逃した。
「日本がミスしたボールやアタックをしていてロストしたボール、ハイボールを競りに行ってこぼれたボールを一発でトライまで持っていかれました。逆に日本は良い攻めをし、自分たちのゲームプランにはまっていたけれども最後に得点を取り切ることができませんでした。アルゼンチンはあまり自分たちの形にはなっていなかったけれども、日本のミスに付け込んで取るべきところでしっかり取りました。この差がゲームに出たと思います」
2大会連続の決勝トーナメント進出を逃したが、世界ランキングで上回るサモアを28-22で下し、07年W杯で3位の実績を持つ強豪アルゼンチンに対して最後まで粘りを見せ苦しめた。藤田氏は次のように今大会を振り返った。