ジャニーズ事務所対応「ネガティブに動くことばかり」 佐藤大和弁護士「芸能人側の権利関係扱ってきた弁護士入れるべき」提言の真意

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   故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けたジャニーズ事務所による対応について、芸能人の権利問題に詳しい佐藤大和弁護士が「ネガティブな方向に動くことばかり」とツイッター(X)で疑問を投げかけている。

   佐藤氏は、「本当に、その顧問弁護士のままでいいのか」と執行体制に不安も漏らした。では、事務所はどうすべきなのかについて、佐藤氏の見解を聞いた。

  • 会見には木目田裕(右から1番目)、山田将之(左から1番目)両弁護士も出席
    会見には木目田裕(右から1番目)、山田将之(左から1番目)両弁護士も出席
  • 佐藤大和弁護士(@yamato_lawyer)がジャニーズ事務所の対応に苦言
    佐藤大和弁護士(@yamato_lawyer)がジャニーズ事務所の対応に苦言
  • 会見には木目田裕(右から1番目)、山田将之(左から1番目)両弁護士も出席
  • 佐藤大和弁護士(@yamato_lawyer)がジャニーズ事務所の対応に苦言

「ジャニーズ事務所には、もっとしっかりと対応して欲しい」

   ネガティブな方向について、佐藤氏は2023年10月10日、「各記者会見の具体性のなさ、NGリスト、権利関係について意識のなさ、被害者叩きを助長する言動・・・・」と指摘した。そのうえで、「事務所を信じて、現場で頑張っているタレントさんたちやタレントたちを応援するファンの皆さんがいるのですから、ジャニーズ事務所には、もっとしっかりと対応して欲しい」と注文を付けた。

   その直前の投稿では、佐藤氏は、事務所は広報を外部から起用すべきとの声に同意したうえで、次のように提言した。

「記者会見における顧問弁護士の発言を見ていると、芸能人の権利関係について不安が残る発言もありますので、今回の問題の本質から、企業側をしてきた法律事務所だけではなく、ちゃんと芸能人側の権利関係を扱ってきた弁護士を入れるべきだと思っています」

   タレントへの人権侵害が批判されたことから、ジャニーズ事務所では2日、外部専門家による再発防止特別チームの提言を受けて、グループ人権方針を策定するとともに、山田将之弁護士をコンプライアンス担当のCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)として招聘したことを明らかにした。また、提言とは別に、人権や子どもの権利問題に精通した弁護士を外部アドバイザーに選任し、設置予定の外部アドバイザリー・ボードでCCOとともに監視と助言を行うとした。

   しかし、その後、記者会見のNG記者リストが配布された社内打ち合わせに顧問の木目田裕弁護士やCCOも出席し、木目田弁護士らからNG記者も指名すべきと意見が出たとしながらも、2日の会見時にリストについて司会者への配布や担当者の所持を防げなかった。

「自らの夢を人質にされ、自らの被害を言えなかった」

   さらに、10月9日には、性加害の告発者を取り上げた一部報道に対し、「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報」に接しているとして、「これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」と検証を求めたが、被害者叩きや報道の萎縮につながるのではないかとネット上で疑問が相次ぐ騒ぎになった。

   事務所のどのような点が問題なのかについて、佐藤氏は13日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように述べた。

「今回の問題の背景の一つには、被害に遭われた方々が、『ジャニーズ事務所を辞めれば、または声を上げれば、自らの夢を絶たれる(かもしれない)』と思ったことがあると考えています。このような背景から、被害に遭われた方々は、複数回にわたり被害に遭ったり、長年にわたり、自らの夢を人質にされ、自らの被害を言えなかったということもあります。この苦痛は、想像を絶するものだと思います。つまり、事務所の地位が、タレントの間で優越的な地位にあり、それを濫用することができたことが今回の問題の本質の一つともいえます。また、この業界において、実演家としての権利関係がすべて事務所側に帰属していることが多いという背景もあると思います」

「通常のビジネス分野と異なるところも多く、慣習や法律論としても難しい」

   事務所がそれにどう対応すべきなのかについては、次のように指摘した。

「今後、再発防止をするためには、この事務所とタレント間の地位(力)の差をしっかりと是正する必要があります。そして、エージェント契約がどのような内容になるかわかりませんが、今後、新事務所とタレントとの間で締結する契約は、公平な契約内容にする必要があります。また、仮に、タレントが辞めた後も、干されることなく、今までのタレントとしての権利を前提に(言い換えれば、辞めた後も事務所に権利等を不当に搾取されたり、制限されたりすることなく)、公平な競争ができるような契約書にするべきだと考えています。以上のような考えから、事務所側は、芸能人側の地位や権利関係に詳しい弁護士の意見も踏まえ、公平な契約書を作成することを目指すべきかと思っています」

   芸能人の権利に詳しい弁護士とはどんな人物像を指すのかについては、こう説明した。

「この分野は、芸能事務所の地位や契約の法的性質をどのように考えるかを含めて、民法、経済法、知的財産法、労働法令等が関わってきており、通常のビジネス分野と異なるところも多く、慣習や法律論としても難しいところでもあります。そういった観点からも、新事務所の顧問弁護士でもどのような関係でもいいのですが、今まで、この分野について、実態を把握し、権利関係を扱ってきた弁護士を入れるべきだと思っています。なお、誤解がないように伝えますが、今の弁護士たちを排斥するべきという意見ではありません。今後、新事務所と契約するタレントたちのためにも、タレントの立場から、さらに充実させるべきという意見となります」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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