「転売チケット購入トラブル」10代・20代に急増 高いカネ払っても会場に入れない

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   2023年5月、新型コロナが「5類」に移行してからイベントが増えて、「推し」のアーティストやスポーツ選手などのイベントが楽しめるようになった。

   それと共に、転売チケットをめぐる詐欺まがいのトラブルが急増しているとして、国民生活センターが2023年10月11日、「【20代トラブル急増中! 18・19歳も!】転売チケットトラブル」というリポートを発表、注意を呼びかけた。

   どんな手口で、どう防いだらよいのか。調査担当者に聞いた。

  • アイドルに会いたかった(写真はイメージ)
    アイドルに会いたかった(写真はイメージ)
  • (図表)チケット転売トラブル(国民生活センター作成)
    (図表)チケット転売トラブル(国民生活センター作成)
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  • (図表)チケット転売トラブル(国民生活センター作成)

チケット代送金直後SNSをブロック

   国民生活センターの報告書によると、こんな事例が代表的だ。

【事例1】転売仲介サイトと気づかず、高額なライブチケットを購入してしまった

検索サイトで「○○(女性歌手)ライブ」と検索し、一番上に表示されたサイトにアクセスした。画面に制限時間のカウントダウンが表示されたので、急いでチケット2枚、約4万円をクレジットカードで支払った。
購入後、このサイトを調べたら、海外の転売仲介サイトだったことが分かった。ライブのチケットを購入したのは今回が初めてで、あせってしまった。本当にチケットが届くのかどうかも怪しいので、キャンセルしたい。(2022年4月受付・20歳代女性)

【事例2】SNSで知り合った個人からチケットを譲り受けるためコード決済サービスで代金を送金した直後、連絡が取れなくなった

SNSで個人からチケットを譲り受けるために、1枚約2万5000円で2枚の合計約5万円をコード決済サービスで代金を送金した。不安だったので、あらかじめ相手の住所、氏名、電話番号の個人情報を聞き、事前に電話をかけ相手と話をして確認を取ったうえで代金を送金した。
ところが、送金をした直後にSNSをブロックされ、連絡が取れなくなった。返金をしてほしい。(2023年5月受付・10歳代男性)

イベントを検索して登場する「広告」の罠

   J-CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した国民生活センター相談情報部の布施さんに話を聞いた。

――被害相談はどのくらい増えているのですか。

布施さん 2022年度は合計1690件で、2021年度が843件ですから、約2倍に増えています。そのうち、10代と20代が半数弱を占めます。

――こうした被害にあわないためには、どうすればよいのでしょうか。

布施さん 興行主催者や正式なプレイガイドなどの正規販売ルートで購入するようにしてください。定価で購入できるだけでなく、公演が延期や中止になった時には払い戻しなどの補償が受けられる場合もあります。

ウェブで歌手名などを検索してチケットを購入しようとすると、危険な罠(わな)が待っていることがあります。

――どんな罠でしょうか。

布施さん 事例1のように、検索サイトの一番上に「転売仲介サイト」が表示されてしまうことが多いのです。検索されるワードに連動されて最上部に表示される「リスティング広告」ですが、中には「広告」の文字が非常に小さくて、初めての人は正規のチケット販売サイトと勘違いしてしまうケースが多くみられます。

落ち着いてよく見るとわかるのですが、アクセスした途端、「残り〇枚!」「残り〇秒!」といきなりカウントダウンが始まりますから、「早く購入しないと」と焦って、あわてて申しこんでしまいがちです。

もともと転売チケット禁止の公演・イベントも

――そこで、ひとまず落ち着くわけですね。

布施さん はい。いったん、ひと呼吸しましょう。画面を閉じると、ウェブサイトが元に戻り、カウントダウンがまた最初から始まりますから、ウソだとわかります。
サイトには事業者名や規約が書かれているはずですから、よくチェックしましょう。日本語で書かれていても、ヘンな日本語である場合は外国のサイトですから要注意です。

それに、せっかく高いお金で転売チケットを購入しても、公演やイベントに入場できないケースが多くあります。

――どういうことですか。

布施さん コンサートやイベントの公式サイトには、転売サイトから購入したチケットだと判明した場合は入場できないと、ルールで定めているところがあります。最近はルールが厳しくなり、免許証などの本人確認を会場で要求するところが増えています。

いま話題のジャニーズ事務所のイベントは、特に厳格だと聞いております。

――高いお金を出して購入したのに、会場に入れないなんて、泣きっ面にハチですね。

布施さん そうならないよう、転売仲介サイトでチケットを買う前に、自分が見たいイベントやコンサートのサイトを見て、転売サイトでも入場できるかどうか、よく確認しておきましょう。

――ところで、事例2のケースですが、自分がライブに行けなくなったなどの理由でチケットを譲りたい場合は、どうしたらよいのですか。

布施さん そもそも、興行主の同意がない有償での譲渡を禁止する旨が書かれたチケットの転売は、「チケット不正転売禁止法」で禁じられています。違反した場合は、1年以下の懲役または100万円の罰金が科せられます。

チケットを有償で譲りたい場合は、興行主が委託した公式の「リセールサービス」を利用するといいでしょう。チケットを希望する人に定価で再販するサービスです。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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