パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織、ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けた問題で、イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が2023年10月13日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見し、被害の実情と国際社会の支援を訴えた。
日本のテレビ番組に苦言を呈する場面もあった。具体的には、10月11日にBS-TBSで放送された「報道1930」で、ジャーナリストの重信メイ氏が出演した点だ。重信メイ氏は、国際テロ組織、日本赤軍を率いた重信房子・元最高幹部の娘。コーヘン氏は画面のプリントアウトを示しながら、番組出演は「市民を暗殺しても構わない」というメッセージを送ることになると主張。「殺人者やテロリストの一族」に発言の場を与えるべきではない、などと話した。
「彼らは新たなホロコーストを起こしている」
コーヘン氏は、ハマスによる攻撃を、過激派組織「イスラム国」(IS)が行った残虐行為になぞらえて非難。誘拐されたイスラエル市民の中には、85歳のホロコースト生存者も含まれているとして、「彼らは新たなホロコーストを起こしている」と訴えた。
報道のあり方について言及したのは冒頭発言の終盤。「イスラエルについて公平な報道を期待したい」として「残念ながら...」と切り出し、
「私が尊敬するTBSのニュースで、50年前にイスラエル人を殺害した、重信の娘にインタビューしているのを見た。重信の娘は、日本のテレビでコメンテーターをしていた。これは何だ?」
と不快感を示した。日本赤軍は72年5月、イスラエル・テルアビブのロッド空港(現ベングリオン空港)で約100人を死傷させた銃乱射事件を起こしている。この点を念頭に置いた発言だ。
重信房子・元最高幹部は22年5月に懲役20年の刑を終えて出所。コーヘン氏は、重信メイ氏が「今、起きていることを賞賛している」と指摘し、
「日本へのメッセージは何なのだろうか?市民を暗殺しても構わない、ということだ。今週イスラエルで、そして50年前にベングリオン空港で、罪のない人々を暗殺しても構わない、ということだ」
などと非難した。重信メイ氏の主張が日本のテレビで展開されたことを
「ぞっとすることだし、こんなものを見てしまったことをとても残念に思う」
とした。その上で、
「日本という国は、リベラルな価値観、民主主義、人権、そして自国民を守り抜くという、イスラエルの側に立つべきだ。このような殺人者やテロリストの一族が、私たちやすべての人間の価値観に対して発言する場を与えることを許すべきではない」
などと話した。
TBS記者「私は重信さんを招いていないが...」
質疑応答では、TBSの記者も
「私は重信さんを招いていないが、それがどうやって起きたかを知るのは興味深いことかもしれない」
と前置きした上で、地上戦や空爆について質問。コーヘン氏は
「お願いします」
「このおかしなことについて言及してくれたことに感謝したい」
などと応じた上で質問に答えていた。
重信メイ氏は放送の中で
「まず、パレスチナ人が武器を持っていることがなんでいけないの?というところ」
「イメージがわかないと思うが、要は日本で、例えば学校でいじめる子がいたら、常に常に毎日のようにいじめられていじめられていじめられている子が、やっと初めてやり返したら、それに対して焦点が当たったような感じ」
などと発言した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
10月11日(水)は
— BS-TBS「報道1930」 (@bstbs1930) October 12, 2023
『イスラエル「総攻撃に移行する」“天井のない監獄”の現状は?』を放送しました。
▽イスラエルとハマスの戦い
▽攻撃の応酬の根底とは
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