プロボクシングの世界3階級制覇王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン、34)が2023年10月12日、東京・有明アリーナでスーパーバンタム級ノンタイトル戦で元IBF世界同級王者・小國以載(角海老宝石、35)と対戦する。11日の前日計量では両者55.3キロで一発パスした。
スポーツ紙などの報道によると、計量を終えたカシメロは「小國を倒してから次は井上尚弥だ」とアピールしたという。カシメロは現在WBO同級3位にランクされており、WBO・WBC同級王者・井上尚弥(大橋、30)の対戦候補の1人に挙げられている。井上戦に向けどのようなファイトが求められるか。TMKジムの金平桂一郎会長(57)がJ-CASTの取材に見解を述べた。
「ただ勝つだけでなく...」
カシメロはライトフライ級、フライ級、バンタム級を制した3階級制覇王者で、戦績は33勝(28KO)4敗。対する小國はスーパーバンタム級で日本、東洋太平洋、世界のベルトを巻いた。戦績は21勝(8KO)2敗2分け。元世界王者同士による生き残りをかけた一戦となる。
金平会長はカシメロについて、「元世界チャンピオンの小國選手に対してただ勝つだけでなく、日本初のリングなのでどのように日本のファンに自身の強さをアピールできるかに尽きる。求められるのは、ノックアウトはもちろんのこと圧勝でしょう」とし、「小國選手は知名度も高く非常に良いマッチメイクだと思います。小國選手も『カシメロ選手を食ってやろう』という気持ちでリングに上がるでしょうから好ファイトが期待できます」と語った。
カシメロはバンタム級王者時代から井上との対戦をアピールし再三挑発してきた。20年4月に米ラスベガスで井上との対戦が内定したが、新型コロナウイルス拡大の影響で試合が延期され、その後消滅した。金平会長は井上を挑発し続けたことで日本での知名度が上がったと指摘した。
「カシメロは小國に負けないくらい知名度が高い」
「メディア報道をみると、今回の試合で小國選手よりカシメロ選手にスポットが当たっています。SNSで井上選手との対戦をアピールしてきたことが要因でしょう。元世界王者の日本人選手との対戦で海外から来た選手の方が注目されるのは、日本ボクシング界において非常に珍しいケースです。カシメロ選手は小國選手に負けないくらい日本において知名度が高いということを改めて示していると思います」(金平会長)
金平会長は、カシメロが小國戦で日本のボクシングファンが納得するような内容のあるファイトをすれば、来年にも井上に挑戦するチャンスが巡ってくる可能性があるとの見解を示した。
小國戦は地元フィリピンでも注目されており、フィリピンメディア「セブ・デイリー・ニュース」(WEB版)は、カシメロがパンチ力で小國を上回っているとし、カシメロ有利との見解を示した。同メディアは「カシメロは失った栄光を取り戻す使命に燃えている」と期待を寄せた。