2024年卒就活生「内定まだ」1割の調査結果 今も続く採用活動「つまずきポイント」探せ

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   2024年卒の大学生の就職活動が、ゴールに近づいた。

   リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2023年10月10日に発表した「2023年10月1日時点 内定状況」によると、10月1日時点で大学生(大学院生を除く)の就職内定率、進路確定率は共に約9割に達している。まだ内定が得られていない約1割の学生に向けて、同研究所所長にアドバイスを聞いた。

  • 「内定がとれた!」と大喜びの女子学生(写真はイメージ)
    「内定がとれた!」と大喜びの女子学生(写真はイメージ)
  • (図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所作成)
    (図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所作成)
  • (図表2)内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所作成)
    (図表2)内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所作成)
  • (図表3)進路確定率(リクルート就職みらい研究所作成)
    (図表3)進路確定率(リクルート就職みらい研究所作成)
  • 栗田貴祥所長(リクルート就職みらい研究所提供)
    栗田貴祥所長(リクルート就職みらい研究所提供)
  • 「内定がとれた!」と大喜びの女子学生(写真はイメージ)
  • (図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所作成)
  • (図表2)内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所作成)
  • (図表3)進路確定率(リクルート就職みらい研究所作成)
  • 栗田貴祥所長(リクルート就職みらい研究所提供)

内定企業のダントツは情報・通信業界

   就職みらい研究所の調査は、2024年卒業予定の大学生3574人が対象。2023年10月1日~3日にインターネットを通じてアンケートを行った。

   それによると、10月1日時点の就職内定率は92.0%で、昨年(2023年卒対象)の同じ時点の93.8%をやや下回った【図表1】。理系が94.1%と、文系の91.2%をやや上回っている。また、男性と女性が92.0%で同じになった。4月1日時点以降、ずっと男性のリードが続いていたが、女性が追いついたかたちだ。

   地域別では、中部(94.7%)がトップ。次いで近畿(94.0%)、関東(91.6%)、その他地域(88.3%)と続く。

   内定取得先の業種をみると、情報・通信業が27.2%と、ダントツに高いことが特徴だ【図表2】。日本政府が「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の本格的な開発推進を決めたことに表れているように、ITスキルを持つ人材は世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むためだ。その勢いが終盤まで続いた。

   次いで、製造業(機械器具以外、17.7%)、機械器具製造業(13.9%)、サービス業(13.0%)、金融・保険業(11.5%)、小売業(11.0%)と続く。製造業やサービス業関連は、コロナ禍から回復したことで、業績が上向いている企業が多いことを反映しているようだ【図表2】。

   一方、すでに就職先の企業を決めた進路確定率も9割近く(88.2%)と、こちらも活動がゴール間近に入ったことがうかがえる【図表3】。昨年の同時点(87.1%)を上回り、過去最高レベルの水準だ。

   しかし、まだまだ就職活動を続けている学生も少なくない。全体の就職活動実施率は10.4%。内定未取得者の74.0%があきらめずに頑張っていることはもちろんのこと、内定取得者でも4.9%の人が「もっと自分に合う企業を!」と探し続けているのだ。

まだ頑張る学生へのアドバイス

   J-CASTニュースBiz編集部は、調査を実施したリクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長に話を聞いた。

――まだ、進路が確定していない大学生が必死に頑張っています。どういうことに気をつけていけばよいでしょうか。

栗田貴祥さん まだ、進路が決まっていない学生のかたは、これまでの就職活動のどこかに「つまずきポイント」があるはずです。まず、その「つまずきポイント」を明らかにしましょう。

まだまだ多くの企業が採用活動を行っています。周囲の学生と比べるのではなく、自分のペースで、納得感のある就職活動を行っていただきたいと思います。「つまずきポイント」を明らかにして対策を練っていく際には、以下の2点に取り組んでみてください。

(1)まずは、自身の志望先について検証してみましょう。社会人になるということは、これまでのイチ消費者の立場から、価値を作り提供する立場に変わります。自身の志望先が、自分のやりたいことだけではなく、自分の強みが生かせる仕事として、相手に納得感を持って伝えられるストーリーになっているかが重要です。

志望先が自分の強みや、自分らしさにフィットしていなかった場合は、志望先の選社基準の見直しを図り、自分の強みが生かせる業界や企業に再挑戦してみること。志望先は自分の強みにフィットしているが、伝え方でつまずいている場合は、うまくいっていない原因を分析し、伝え方を改善しましょう。

(2)以上のことを自分だけで行うのではなく、キャリアセンターなど、第三者に相談して、客観的な視点を取り入れながら改善していきましょう。

――焦らず、冷静にこれまでの就職活動を反省することが大切ですね。ところで、進路が確定した大学生ですが、来年(2024年)4月の入社前に今後の社会人人生のために、何か勉強しておく必要がありますか。

栗田さん 勉強もとてもよいことだと思いますが、入社までは、いかに残りの学生生活を充実させるかに注力するのがよいと思います。

学生時代のいろいろな体験が、社会に出た際のヒントになることも多いと思います。充実した学生生活を満喫してください。

就活のゴールは内定獲得だけではない

――今シーズンを振り返り、就職・採用活動のあり方について、大学や企業側、あるいは政府や経済団体に「こうしてほしかった」という要望はありますか。

栗田さん2024年卒の大学生の内定率を見ると、政府からの要請にもある現状の就活スケジュールである採用広報開始の3月1日時点で30.3%、採用選考開始の6月1日時点で79.6%と、示されているスケジュールと企業の内定出しの時期の実態が大きく乖離(かいり)し、就職活動の早期化がより顕著になっていることが読み取れます。

この状況に鑑みると、外部環境も大きく変化している昨今、就職活動や採用活動のあり方の見直しを検討していく必要を感じています。

――そのとおりですが、「2025年卒就活生」のスケジュールも、「2024年卒就活生」と同じになると言われています。

「2025年卒就活生」はすでに、サマーインターンシップなどに動いていると思われますが、今年10月以降、どんなことから始めて、どういう点に気をつけていけばいいでしょうか。

栗田さん 就活のゴールは内定獲得だけではありません。大学卒業後に自分がどんな人生を送っていきたいのかを意識しておくことが、とても大事だと思います。

自分らしい充実した人生を歩むために、どのような場所で、どんな人たちと、どのように働き方であることが、自分らしくイキイキと働いていけることになるのかを、しっかりと見つめ、自分なりの選社基準の軸を仮置きしてみてください。

そして、その軸が本当に自分にフィットしているかどうかを、冬のインターンシップなどへの参加を通じ、見極めていくのがよいと思います。

ちなみにですが、自分らしい選社基準の軸は人それぞれ違いますし、就活を通じて、変わっていっても構いません。周囲の人の価値観や考え方に振り回されることなく、自分の価値観に見合った、納得感のある就職活動を行なっていってください。

――2024年卒の就活生の間で話題になったのが、生成AIを就職活動に使うべきかどうかです。エントリーシートの作成や、自己PRの練習などに活用した学生が多い一方、「自分らしさ」が出なくなり、逆効果になるのではと迷う学生も多くいたと聞きます。

栗田さんは、個人的に生成AIを就職活動に使うべきかどうかについては、どう考えていますか。また、リクルート就職みらい研究所で生成AIと就職活動に関する調査をしたことがありますか。

栗田さん 就職活動での学生の生成AIの使用に関しましては、現在、就職みらい研究所でも調査検討段階のため、現時点でのコメントは差し控えさせていただければと思います。また、就職みらい研究所で生成AIと就職活動に関する調査は、現時点ではございません。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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