スマートフォン(スマホ)の乗り換え手続きを簡素化し、1か所で済ませられる「MNPワンストップ」が2023年5月下旬、開始した。これで、スマホの乗り換えはどこまで進んだのだろうか。
モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2023年9月26日に発表した「通信キャリアの乗り換え経験に関する調査」によると、乗り換え経験のある人は約半数だという。これって多いのか、少ないのか。
乗り換え理由1位「料金を安くしたい」
MMD研究所の調査では、乗り換え経験に焦点を当てているため、キャリアのプランを「docomo」「au」「SoftBank」と、「docomo、au、SoftBank以外」のプランという分け方を中心にしている。なお、「docomo」「au」「SoftBank」にはオンライン専用プランとサブブランドを含んでいない。
調査では、全国の18~69歳の男女1万人のうち、通信キャリアを現在メインで契約している8852人を対象に、まず、通信キャリアの乗り換え経験があるかどうかを聞いた。
すると、「1回」(28.1%)が最も多く、次いで「2回」(11.9%)、「3回」(7.0%)、「4回」(2.5%)、「5回以上」(3.9%)と、合計半数以上(53.5%)に乗り換え経験があることがわかった【図表1】。
これをキャリア・プラン別で見ると、「乗り換えたことはない」という回答が最も多かったのは「docomo」(82.9%)。次いで「au」(69.8%)、「SoftBank」(56.4%)となった【図表2】。
「docomo、au、SoftBank以外」のプランを見ると、大半が70%台後半から90%台前半までの乗り換え経験者だ。「UQmobile」(82.9%)、「LINEMO」(91.9%)、「povo」(89.2%)など、大手通信キャリアのサブブランドやオンライン専用プランが高い割合で乗り換え経験があることが目立つ【図表2】。
次に、ほかの通信キャリアへの乗り換えを検討しているかを聞くと、「すぐにでも乗り換えたい」「すぐにではないが、乗り換えを検討している」を合わせると、「docomo」「au」「SoftBank」が24.5%、「docomo、au、SoftBank以外」が24.4%と、ともに4人に1人が乗り換えを検討しているという結果が出た【図表3】。
それぞれ、乗り換えを検討している割合はほぼ同じなのに、その理由が少し異なるところが面白い。
【図表4】の乗り換えを検討している理由(複数回答)の比較表をみると、「docomo、au、SoftBank」では「利用料金を安くしたいから」(58.6%)が最も多く、次いで「他社の料金プランが魅力的だから」(30.5%)、「料金プランが自分に合わないと思うから」(20.8%)の順となった。
一方、「docomo、au、SoftBank以外」では、1位の「利用料金を安くしたいから」(34.5%)は同じだが、2位に「通信品質が悪いと感じるから」(19.3%)が浮上してくることが特徴だ。電波の受信状況に不満を持っている人が少なくないことがうかがえる。