洞窟探検ツアー死亡、現場はどんな環境なのか 「時には肩まで水に浸かり...」雨でも決行したワケ

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   探検ツアー中に3人が遭難した沖縄県・与那国島の洞窟は、長さが約120メートルあり、地下水に浸かりながら進まないといけないタイプであることが分かった。

   前日ぐらいから雨が断続的に降っており、そんな中でなぜツアーを行ったのだろうか。ツアー会社などに取材した。

  • 時にはほふく前進となるコースだという(写真はイメージ)
    時にはほふく前進となるコースだという(写真はイメージ)
  • 今回の洞窟探検ツアー(プレスリリースから)
    今回の洞窟探検ツアー(プレスリリースから)
  • 時にはほふく前進となるコースだという(写真はイメージ)
  • 今回の洞窟探検ツアー(プレスリリースから)

「多くは安全で、しゃがんで肩まで水に浸かるところなどは一部」

   この洞窟は、島の南東にある断崖絶壁の岬、新川鼻の近くにある。観光名所になっている人面岩の西側にあり、正式な名前は付いていないという。

   報道によると、ガイドの男性(28)と夫婦の客で2023年10月10日午前10時半から約2時間半の探検ツアーに出ていた。同日17時ごろ、3人が帰ってこないと地元消防団から県警に通報があり、その後の11日未明にガイドと女性が自力で脱出した。ガイドは、洞窟内の水位が急に上昇したため3人が離れ、水位が下がった後に女性と合流したと話したという。そして、同日午前10時ごろ、洞窟内で横たわっている男性が発見されたが、呼びかけには応じず、16時半過ぎに救出された後、死亡が確認された。

   探検ツアーの22年12月23日付プレスリリースによると、観光事業としてツアーのテストスタートをしたとし、2コースを用意したと紹介した。Aコースは、ヘッドライトを着けて真っ暗闇の狭い進路を行くとされ、Bコースは、次のように書かれていた。

「絶えず流れる地下水に浸かりながら奥に進むコースとなっています。時には肩まで水に浸かり、時にはほふく前進でしか進めない極狭空間を慎重に進みます。環境的にも体力的にもハードなこのコースはケイビング(編注:洞窟探検)経験者のみ対象となっています」

   ツアーを企画・運営したアクトプロ(東京都港区)は10月11日、J-CASTニュースの取材に対し、広報部の担当者が今回はBコースだったと明らかにした。

「初心者の方は、Aコースをお勧めしています。Bコースも多くは安全で、しゃがんで肩まで水に浸かるところなどが一部だけあります。ガイドは、ケイビングのライセンスを持ち、研修を受けており、経験もツアーを始めてから1年ほどあります」

与那国町教委「雨で増水が予見でき、判断ミスがあったのでは」

   日本気象協会のサイトで実況天気を調べると、与那国町は、10月7日ごろから断続的に雨が続き、遭難当時の10日は未明から雨になっていた。

   アクトプロの広報部では、前日から雨が降ったり止んだりする天気だったことを認めたうえで、次のように説明した。

「警報や注意報が出ていないか、水位はどうなっているかのチェックポイントに問題はなく、事前の状況では、気候条件の基準を満たしていました。ただ、事故が起きてしまいましたので、こうした基準がどうなっていたのかということは出てくると思います」

   今後については、事故への対応をしっかりして、その原因を究明したうえで、ツアーを継続するかについて判断したいとしている。

   同社では、公式サイトで事故の説明を続けており、男性の死亡が報じられてからは、次のように述べた。

「現在警察や消防と協力して事故原因の究明を進めている段階ではありますが、弊社が企画運営するツアー中に起こった事故であり、弊社に強く責任があると考えております。何より、お亡くなりになられた参加者のご家族・ご遺族の方々に対しましては誠心誠意を尽くしてご対応させていただく所存です」

   今回の事故について、沖縄県警の八重山署は11日、取材に対し、次のような見方をした。

「洞窟は通常、胸の高さまで水がたまっていると聞いています。詳しい状況は確認していませんが、雨が降ったり止んだりしており、洞窟内で雨水があふれた可能性はあると思います」

   与那国町教委の教育課は同日、事故のあった場所は、アンガイミドゥチと呼ばれる町指定天然記念物の谷川沿いにある小さな洞窟だと取材に明らかにした。

「地下にも川が流れており、石灰岩を溶かして洞窟になり、地上に開口部があります。入口は、腹ばいにならないと入れません。雨が降れば、増水することは予見できたはずで、判断ミスがあったのではないかと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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