新幹線まで「助っ人」に
――それには、どうしたらよいでしょうか。
坂田さん 運輸業界には「トラックの6割は、空気を運んでいる」という言葉があります。この空荷で走る無駄をいかになくすかがカギです。M&Aを進めて集約する方法もありますが、業界全体が協同組合でやっていくしかないでしょう。
A社が発注した荷物の帰りの空のトラックに、B社が発注する荷物を載せるようにお互いに調整する。あるいは、各社の荷物を小分けして、同じエリアやルートをまとめて運ぶ方法です。
それには、配送センターを共同で使い、トラック運転手を共通で使う必要があります。
――業界全体が、運命共同体でやっていくわけですね。
坂田さん はい。輸送業界全体を巻き込んだ新しい方法も進んでいます。荷物を途中まで鉄道や飛行機、船などで運ぶやり方です。
これまでも新幹線では、車内販売の準備室などで小口の荷物を置く方法がとられていましたが、JR東日本が今年8月31日に、荷物だけを運ぶ上越新幹線の臨時列車を走らせる実証実験を行いました。
旅客のいない東京と新潟の車両基地で、荷物を積み下ろしすることで作業を効率化し、過去最大規模となる約700箱を輸送したのです。
――新幹線まで助っ人に参入してくれるとは、速くて頼りになりますね。
坂田さん 運輸業界の倒産は、物流が滞るリスクになり、実はいろいろな業界に影響します。日本経済全体に倒産が広がる恐れがあります。
経済界全体が運送業界を支援する必要があります。先ほどの川崎市のM社の例がそうですが、ももともと「売り上げが伸びても、利益があがらない」のがこの業界の常。運送業界が価格転嫁を進めて、高くなっている運転手の人件費を出せるような適正価格を認めないと、日本経済自身の首を絞める事態になると考えています。
(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)