相手国への感情「良くない」が高止まりする理由
ただ、 恒例の両国に対する印象を聞く設問では、「良くない」とする回答が引き続き圧倒的に多い。日本で中国に対する印象を「良くない」と考える人は、19年84.7%→20年89.7%→21年90.9%→22年87.3%と推移。23年は4.9ポイント高い92.2%だった。
中国で日本に対する印象を「良くない」(「どちらかといえば良くない」を含む)とする回答の割合は、19年52.7%→20年52.9%→21年66.1%→22年62.6%と推移。23年は0.3ポイント高い62.9%だった。
こういった国民感情の背景を、工藤氏は
「残念ながら、『中国のメディアを見て日本側のメディアが報道する、そして、日本の報道を見て日本の国民がそういう認識を固める』という間接情報的な状況で認識を作るしかない。その制約の中で、今、両国国民がその問題を判断している」
とみる。つまり、中国メディアが日本を批判する様子が日本メディアを通じて日本国民に伝わり、日本国民の対中感情が悪化する、という構図だ。
相手国に「良くない」印象を持つ理由を聞いた項目で、日本側で「中国メディアが反日報道を繰り返すから」と回答した割合が22年の21.9%から23年は40.7%と大幅に増えている。処理水問題が影を落としているとみられる。
調査では、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、「世界で核戦争は起こるか」という問いも初めて盛り込んだ。日本側では「近年中あり得る」3.5%、「遠くない未来はあり得る」36.4%と、4割が核戦争の可能性を不安視している。中国はそれぞれ12.4%、40.2%と日本を大きく上回っており、過半数に達している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)