「口座はずっと全部隠し通せ」隠し財産づくりを指南? 離婚講座が物議...世田谷区「ご指摘真摯に受け止める」

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   東京都世田谷区の区立男女共同参画センター「らぷらす」で行われた離婚テーマの講座で、講師が女性参加者に「隠し口座」を指南するなどしたとして、違法ではないかとツイッターで問題提起があった。

   らぷらすは2023年10月10日までに、区と協議したうえで、「ご指摘あることは承知しており、真摯に受け止めております」と取材にコメントし、今後は講座内容などに十分に考慮して運営していきたいと述べた。

  • 離婚をめぐる指南が物議(写真はイメージ)
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  • 離婚講座について公式サイトで説明
    離婚講座について公式サイトで説明
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給与振込口座も、バレないよう少しずつ減らすようアドバイス

   らぷらすでは、女性限定で20人募集して、「離婚をめぐる法律・制度活用講座」が9月に2回行われた。このうち、9日に弁護士が講師を務めた法律編について、23日になってツイッターで投稿があった。

   この投稿では、講座を録音した音声データの一部がアップされ、その内容が違法ではないかと指摘された。

   音声を聞くと、講師は、離婚における財産分与について話し、別居前1年分の口座は夫に開示することになっていると説明した。そして、2、3年分を開示するよう求める夫もいるとして、「口座はずっと全部隠し通せ」とアドバイスした。

   また、給与振込口座などについては、夫も存在を知っているため、一気に残高を降ろすとバレてしまうと指摘し、「開示してもいいように、減らすときには、ちょこちょこちょこちょこ減らす」とアドバイスした。夫に聞かれた場合、「いや、こんときなんかストレス溜まって、ごにょごにょごにょって感じで、何となくごまかせるようにしといていただく」と付け加えた。

   口座から口座へ直接送金すると夫にバレてしまうため、「現金で出して現金で入れる、という移し方をして下さい」とも述べた。

   講座の違う部分の音声も、別の投稿者がアップしており、講師は、裁判所が子供の環境維持を重視することから、「離婚後に親権者になりたい場合は、必ず別居するときにお子さんと一緒に家を出てください」と参加者に呼びかけていた。

講師の弁護士「こちらからお答えすることはありません」

   財産分与については、民法の第768条で規定されており、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」とある。

   法務省の参事官室は9月26日、J-CASTニュースの取材に対し、「夫婦で形成した財産は、公平に分けることになっており、違法な分与になるかは、財産の移動方法によります」と答えた。

   隠し財産づくりを指南したとも取れる講座の内容について、ツイッター上では、講師と同業の弁護士からも、違法行為を勧めているのではないかなどとの指摘が出ている。

   ある弁護士は、取材に対し、「一部分をこっそり隠し、多めに財産を取るのはおかしい。隠し財産づくりは、場合によっては、詐欺罪に問われる可能性があります」として、講師のアドバイスに疑問を呈した。

   講師を務めた弁護士は26日、事務所を通じて、「その件については、こちらからお答えすることはありません」と取材に答えた。理由についても、答えることはないとしている。

   らぷらすは10月10日までに、世田谷区などと協議したと取材に説明し、違法性を指摘されたことに対し、次のようなコメントを出した。

「ご指摘あることは承知しており、真摯に受け止めております。今後の講座の選定、講義内容の設定、講師の選定等に当たって十分に考慮し、よりよい講座運営に努めてまいります」

   らぷらすは6日、公式サイトで「重要なお知らせ」を出して同様な内容を書き、受講生に説明とお詫びをしたいとして連絡するよう呼びかけた。

   一方、区の人権・男女共同参画課は10日、取材に対し、「らぷらすは、区と協議しながら、お知らせの文面を作成しました。区も同じ考え方で、公式サイトの内容がすべてです」と答えた。なお、6日の区議会決算特別委員会で、日本維新の会の稗島進議員から離婚講座について質問を受け、らぷらすと同様な内容を答弁している。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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