「リスクがありながらパスが繋がればリターンも大きい」
「非常にリスクが高いというプレーではありませんが、コンタクトのシチュエーションでボールを離すのでボールが繋がらなかった場合はピンチに陥ります。ですから『これは繋がるな』という場面でオフロードパスを狙っていきます。オフロードパスが繋がればラインブレイクやゲインをした状態でアタックができるので、相手はそこまで下がらないといけない。アタックにもテンポが出てきますし、日本のスピーディーなラグビーができる。リスクがありながら、パスが繋がればリターンも大きいプレーです」
8日の試合ではフィジカルの強いアルゼンチンのバックスがオフロードパスを多用し、揺さぶってくることが予想される。日本はどのように対応するべきなのか。藤田氏は次のように説明した。
「まずは1人目の選手がタックルを外されないことです。優位な位置でタックルをすることが重要になってきます。オフロードパスを繋がせないために、タックルに行く2人目の選手がしっかりとボールに働きかける。オフロードパスをする手を防げば繋がらないので、1人目がしっかりタックルに入ることと、2人目がボールに対して仕掛けていくことが大事になってきます。日本の武器でもある低いタックルが強みになります」
藤田氏は自身が日本代表としてプレーしていた時代を振り返り、現在の代表チームと戦術面での違いを指摘した。15年W杯イングランド大会はエディー・ジョーンズ氏(63)が監督として指揮を執った。今大会は19年W杯日本大会に続いてジェイミー・ジョセフ氏(53)が監督を務めている。
「エディーさんのラグビーはどちらかというとオフロードパスはあまり使わず、どんどんフェーズを重ねてラックをたくさん作って攻め続けて走り勝とうというラグビーでした。オフロードパスは多用しませんでした。ジェイミー・ジョセフさんは、リスクを伴うけどもハイリターンがあるラグビーをするのでキックも多用しますし、オフロードパスもチャンスがあればチャレンジする。監督の戦略、方針の違いで攻め方が変わり、その戦術に見合った選手が招集されます」
藤田氏は日本代表の攻撃を担当するトニー・ブラウンコーチ(48)に言及し、アイデアマンのブラウンコーチがアルゼンチン戦で今大会初めて披露する「スペシャル」なプレーを用意していると予測した。