119番して「鍵を失くした」「エアコン設置して」 東京消防庁悩ます「迷惑TEL」...なぜか非を認めない人も

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   厳しい残暑が続き東京都内の119番通報がひっ迫した。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症も猛威を振るう中、東京消防庁を悩ませていたのは迷惑行為だった。X(旧ツイッター)で、本当に必要な緊急通報に対応するために「不要不急の電話については最後までお話を聞かずに切断する場合があります」と伝えると、「本当に危機的状況なんだな」などと驚く声が広がった。

   東京消防庁は2023年9月末、J-CASTニュースの取材に対し、「鍵を失くした」など無関係な電話対応に追われることがあるなどと苦悩を明かした。

無関係な電話を切りたがらない通報者も

   9月上旬ごろ、「救急車逼迫アラート」の発令が相次いだ。アラートは、23区内もしくは多摩地区の救急隊の出動率が80%を超えたり、その状況が予測されたりした際に出されている。Xではたびたび119番通報が混みあっている旨を伝えていた。特に注目を集めたのは、11日のポストだった。

「119番は緊急通報です。
問合せや相談等を119番通報すると本当に必要な緊急通報に対応できなくなる恐れがあります。 不要不急の電話については最後までお話を聞かずに切断する場合があります。
他の緊急通報を優先するための措置ですので、ご理解をお願いします」

   取材に対し東京消防庁は、緊急通報や救急車の出場率が増えた背景について、後期高齢者の人口割合の増加、猛暑の影響や9月になっても残暑が厳しく体調を崩す患者の増加、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行など様々な要因が考えられると述べる。

   救急需要の増加に伴い119番通報がひっ迫している。しかし通報の2割を占めるのは不要不急の電話だという。実際に寄せられた内容は下記のようなものだ。

「鍵を失くしたので何とかしてほしい」「トイレの水が止まらなくなった」「不審者がいるので見に来てほしい」「サイレンが鳴っているが、何かあったのか」「37.5℃の熱があるが、どうしたらいいか」「エアコンの設置をお願いしたい」「通帳を失くした」「部屋の電気が消えないので何とかしてほしい」

   東京消防庁は「家電のことや水のトラブルなどについては、それぞれの業者へ問合せてください」と呼び掛けている。緊急通報でもそれぞれの問い合わせ先にかけ直すように伝えているが、「納得いただけないことがあり電話対応が長くなっていました」という。

誤操作による通報も

   東京消防庁は、対応すべき緊急通報への初動に影響が出るため、不要不急と判断した電話は切断すると周知した。

「実際に電話を切断することはあります。しかし、すぐに切断するのではなく、話を聞いて緊急性がないことを確認して、ほかの場所へ電話するように促しても話が終わらない時などに、『これ以上対応できません』と電話を切断しています」

   このほかポケットに入れた携帯電話で誤って通報してしまった事例もあるとして、携帯の画面操作には注意を払うよう呼びかけている。

   Xでは繰り返し119番通報の適切な利用を呼び掛けている。これまでは、東京消防庁災害救急情報センターで実際に電話応対している職員の写真を紹介することが多かった。

   今回話題になったポストでは、本当に緊急通報が必要なシーンが視覚的に伝わるよう、火災現場の写真を紹介した。投稿には1万件を超えるリポストと「いいね」が寄せられるなど大きな反響があった。東京消防庁は、投稿に理解を示した多くのユーザーたちに感謝している。

   東京消防庁は、病院に行くか救急車を呼ぶか迷った時は、東京消防庁の救急相談センター「#7119」で相談できると紹介している。インターネット上では、通報する基準を示した「東京版救急受診ガイド」を公開している。

「救急通報をする時は、119番通報がつながらないからと電話を切ってかけなおしたり、複数の電話機でかけるのはやめてください。119番通報は順番に対応しておりますので、複数の電話でかけても対応順は同じです。逆に複数の電話を別の勤務員が対応することとなり、同じ件での通報か確認するのに時間を要します」
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