今オフの「FAの目玉」として、動向が注目されるのがヤクルトの守護神・田口麗斗だ。
リーグ3連覇を狙った今季は5位に低迷したが、開幕から抑えを務めて50試合登板で3勝5敗33セーブ6ホールド、防御率1.86をマーク。直球は140キロ台と決して速くないが、キレ味鋭いスライダーとのコンビネーションで制球力が良いため崩れない。走者を背負ったピンチで内角を果敢に突ける強心臓も抑え向きだ。
「条件面では巨人の方が良いかもしれないが,,,」
2023年7月19日に出場選手登録日数が8年に達し、国内FA権を取得。左のリリーバーが手薄な球団は多い。移籍も視野に入れて権利を行使した際は、複数球団が獲得に名乗りを挙げる可能性がある。補強ポイントとして田口が最も欲しいのは、古巣の巨人ではないだろうか。今季は2年目の守護神・大勢が故障で夏場の2カ月間離脱するなど救援陣全体が不安定で、3年連続V逸の要因になった。
田口にとって巨人は特別な球団だ。高卒3年目の16年に10勝、翌17年に自己最高の13勝をマークし、左のエースとして期待された。18年は2勝止まりだったが、19年に救援に配置転換されて55試合登板し、3勝3敗1セーブ14ホールドとリーグ優勝に貢献。21年の開幕前に廣岡大志(現オリックス)との電撃トレードでヤクルトに移籍後は、セットアッパーとして2年連続リーグ連覇の原動力になった。
スポーツ紙記者は、「田口は伸び伸びとしたヤクルトのチームカラーが合っている。条件面では巨人の方が良いかもしれないが、阿部慎之助新監督の下でプレーするイメージがわかない」と分析する。
熟考の末、田口が出す決断はいかに――。(中町顕吾)