井ノ原快彦への拍手は「異様」...ジャニーズを助けた「傍若無人な記者」 専門家が指摘する「幼稚な報道陣」と「鉄壁の事務所」

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   故ジャニー喜多川氏の性加害問題でジャニーズ事務所が2023年10月2日、都内で記者会見を開いた。質問は「1社1問」「簡潔に」と司会者から事前に通達があったが、割り込んで複数の質問をする記者が現れ、記者同士で怒号が飛び交う場面もあった。SNSでは事前の通達を守らなかった記者たちに対し「進行の妨げ」「ルールくらい守れ」などと非難する声が寄せられている。

   テレビ東京「ガイアの夜明け」元ディレクターでPR戦略コンサルタントの下矢一良さんは3日、J-CASTニュースの取材に対し、傍若無人な記者の振る舞いがジャニーズ事務所の保身に貢献してしまったのではないかと推察する。

  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
    会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
    会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
    会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
    会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)
  • 会見の様子(2023年10月2日撮影)

元・報道のプロが感じたジャニーズ会見の「異様さ」

   取材に対し下矢さんは、「昔から変わった記者は一定数いた」としながらも、ネット中継によって明るみに出たと述べる。さらに中継されるようになったことで、会見が記者にとっての「見せ場」となってしまい、「パフォーマンスに走る記者まで現れているようにも感じる」という。

   質疑応答では、割り込んでの質問や、事前の通達を守らない記者がおり、会場は騒然となった。「なぜ後ろばかり指名するんですか」などと不満があがり、「ちゃんとルール守れよ」「静かにしろ」と記者間でトラブルとなる場面もあった。登壇者であるジャニーズアイランドの井ノ原快彦社長が「落ち着いていきましょう」などといさめる場面もあり、ルールを守るよう呼びかけると記者席からも拍手があがった。

   下矢さんは、「ジャニーズ事務所にベッタリとおぼしき記者たち」が、井ノ原氏の発言に大きな拍手を送っている点に「異様さ」を感じたと述べる。

「通常、報道に携わる記者は仮にどんなに会見者が素晴らしいと思える発言をしても拍手などでは応じない。あくまで取材者だからだ。いくら傍若無人な振る舞いの記者に腹が立っていたとしても、拍手で応じるのは不適切」

   下矢さんは自らの取材経験を振り返り、新商品の発表会見であればメーカーの社員らが場を盛り上げるために拍手することがあったという。しかし今回のように、記者が取材者の立場でありながら拍手をする光景は「見たことがない」として、「一部、芸能マスコミの『特殊さ』を感じずにはいられなかった」と述べる。

「追及する側も批判される余地のない、紳士的な態度で振る舞うべきだった」

   下矢さんは、「反ジャニーズ事務所の立場から『正義のためであれば、どんな振る舞いでも許される』と思っているかのような記者の傍若無人さ」も、人々に違和感を与えたと推察する。

「今回の『ルール』はジャニーズ事務所が組織防衛のために課した縛りなので、記者が突破しようとするのは当然。だが、ジャニーズ事務所が『ルール』という大義を打ち出してきた以上、追及する側も批判される余地のない、紳士的な態度で振る舞うべきだった。追及側の幼稚な姿勢、そして熟慮されたとは思えない質問のおかげで、ジャニーズ事務所はかなり助けられたのではないか」

   ジャニーズ側の対応については、考えうる限りの「鉄壁の守り」を敷いていたと分析する。今回の会見では前社長の藤島ジュリー景子氏が欠席した。下矢さんは「『社会への説明責任』という面からは、長年取締役、社長を務めた人物だけに無責任の誹りは免れない」とする。一方でジャニーズ事務所の「組織防衛」という観点から見れば、適切な対応だったと評価する。

「藤島氏は前回の記者会見で記者の質問への対応力が微妙であることが露呈された。加えて、当事者中の当事者であることから、東山(紀之)社長に対するよりも厳しい質問が予想される。そのため、欠席はジャニーズ事務所の組織防衛の観点からは当然の選択だったと言える」

   チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)に新たに就任した山田将之弁護士、顧問弁護士である木目田裕氏と2人の弁護士を同席させたことや、会見時間を前回の半分以下の2時間に減らしたこと、「1社1問」ルールを強いたことも、事務所の「守り」を強めていると推察する。

「『ルール』がジャニーズ事務所の保身と受け取られなかったのには、追及側の意図せぬ貢献も大きかっただろう。追及側の傍若無人な対応まで見越して、『ルール』と称したなら、ジャニーズ事務所の対応は強かで見事」

今回の会見は今後の事務所運営とってポジティブ?ネガティブ?

   このようなジャニーズ事務所の「鉄壁の守り」姿勢は、今後の好感度にどう影響するだろうか。下矢さんはこう答える。

「短期的には『大過なく乗り切れた』という意味でポジティブ。だが短期的に乗り切ることを重視するあまり、長期的には『真摯に出直すジャニーズ事務所』という印象づけには失敗している。現在まで賛否両論渦巻いているのが、その証左。そのため、新規のCM契約は困難なままではないか。長期的にはネガティブと考えている」

   一部の熱狂的なファンを除く多くの人々は、ジャニーズ事務所に冷ややかなまなざしを向けており、今回の会見によって「なにか割り切れない感情」が残ったのではないかと推察した。

   

「長期的に考えれば、徹底的に記者会見に向き合い、特に厳しい質問をぶつけられる姿を晒すことで、逆に真摯で誠実な姿勢を打ち出したほうが得策だったのではないか」

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