故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、ジャニーズ事務所が今後の会社運営などを説明した2023年10月2日の会見について、翌3日放送の「DayDay.」(日本テレビ系)が取り上げた。会見中に井ノ原快彦さんが「小さな子供たち、自分にも子供がいます」「どうか落ち着いてお願いします」などと報道陣に呼びかけた場面に、出演者から「非常に違和感がありました」と指摘があった。
「元々子供に対してやったことが問題になってあの場に立っている」
会見では一部の記者が「1社1問」とされたルールを破ったり、騒然となったりする場面もあった。井ノ原さんが
「こういう会見の場は、全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子供たち、自分にも子供がいます。ジャニーズJr.の子たちもいますし、被害者のみなさんが自分たちのことでこんなに揉めているのかというのは僕は見せたくないので、できる限りルールを守りながら、ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたいと僕は思っていますので、どうか、どうか落ち着いてお願いします」
と呼びかけると、会場で拍手が上がった。
「DayDay.」ではMCの山里亮太さんから「気になるポイント」を聞かれた、ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長の石田健氏が
「児童に対して性加害をした企業のトップがメディアからの質問に対して、『子供も見てるので皆さん落ち着いていきましょうよ』というのは非常に違和感がありましたよね。元々子供に対してやったことが問題になってあの場に立っているわけなので、その方たちが『子供が見ているから皆さん落ち着きましょう』。しかも自社に対する質問に対してそういったなだめ方をしているというのは非常に違和感があった」
と私見を語った。
もし他の企業が不祥事で記者会見を開いた際に同様の発言をしていたら「非常に批判を浴びてるはず」だとして、
「これはメディアを含めてお茶の間に愛されてる井ノ原さんだったからこそ、『あ、そうだよね、落ち着いた話し合いが必要だよね』という風になってる」
と持論を述べた。
「お行儀よくお話をするという問題に矮小化しちゃいけない」
井ノ原さんが呼びかけた相手とみられる女性記者については、石田氏は「その言い回しだったりヒートアップの仕方が問題でなかったとは思わない」とした上で
「女性が感情的でヒステリックで、それに対して年長の男性が『皆さん落ち着きましょうね』と理性的な振る舞いを見せるというのは、ある種ジェンダーの関係性の中で非常に典型的なスタンスでもあるわけです。加えてそこにメディアが拍手をしてる。『井ノ原さんよく言った』という意味で拍手をしてると。これはまさに井ノ原さんが持ってる良いイメージ。理性的で、ニュースだったりそういう番組で作り上げてきたイメージに、またメディアが加担してるわけですよね」
と指摘した。
1社1問のルールについては「もちろん記者会見にも時間がある。一問一答が良いというルールがあるのは分かる」と理解を示す一方で、
「そのルールは記者会見をした側の企業が設けたものですよね」
「そのルールが十分な説明を果たしていないものであれば、『それはおかしいでしょ』と聞くのが報道の役割。それを聞かないのであれば、PRだったり広告の文脈でいいわけなので、これをルールの問題とかお行儀よくお話をするという問題に矮小化しちゃいけない。なぜなら(被害者が)300人いたわけですよね」
と語っていた。
石田氏の話を受けて、山里さんは
「あのシーンだけを見ると『さすが井ノ原さん』みたいになってしまってるけど、そこの周りを考えて言わないと、我々も何も反省してないのと同じになってしまうということですね」
とまとめていた。
石田氏は放送後にX(ツイッター)を更新し、「(女性記者の)言い回しだったりヒートアップの仕方が問題でなかったとは思わない」「女性が感情的でヒステリックで、それに対して年長の男性が『皆さん落ち着きましょうね』と理性的な振る舞いを見せるというのは、ある種ジェンダーの関係性の中で非常に典型的なスタンスでもある」などとする発言について、「こちら自分が言葉足らずな部分がありました」として、「記者による質問の仕方・ヒートアップした状況には問題があるだろう」「ただ『ヒステリックで感情的な女性と理性的な男性』という典型的な二元論(ステレオタイプ)に陥ることに慎重に」という2点を伝えたかったと補足している。